重度の大気汚染がもたらすもの
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白いスモッグで覆われ10メートル先が霞む北京市のオリンピック公園 (大紀元より)
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昨日、中国とインドにおける「人工中絶」や「間引き」「育児放棄」などによる、女児抹消の恐ろしい実情について記したばかりであるが、大気汚染においても世界一、二位を争っているのは中国の北京とインドのニューデリーである。 両国共に汚染は年々常態化し、微小粒子状物質PM2・5濃度が増すばかりか、危険状態の日数が長く続くようになって来ているのである。
北京では7日に、深刻な汚染が3日以上続くと予測された際に発令される「赤色警報」が2013年に制定されて以来初めて出され、工場の操業停止や学校の休校、走行車両の規制が発令されたことは、ご承知の通りである。
今回の北京市のPM濃度は1立方メートル辺り250〜300マイクログラム(重度汚染レベル)で日本の基準値の7〜8倍程度であったが、11月9日に
北京市の北東部の遼寧省藩陽市で発生したスモッグは、1400マイクログラムに達しており、ネットに「呼吸困難、どこかで火事が起きているみたい」というつぶやきが載る程深刻な状況であった。
ここまで来ると、WHO(世界保健機構)が危険とされる量の100倍に達するだけに、もはや尋常な数値ではない。 「一人っ子政策」で自分たちの老後を託した一人っ子が、PM2・5で体を壊したり病弱になってはたまったものではない。 幼稚園の園児など幼い子供を地方に避難させようとする家庭が増えてきているのは至極当然で、これから先、今回のような赤色警告の発令で暮らしへの影響が広がれば、政府への不平・不満はさらに高まることは必至である。
習近平政権がそれに気づいていないはずがない。 それなのに一向に改善傾向が見られないのはなぜか? 事態がここまで悪化してきたら小手先の対応では改善は無理だからである。 車の走行をナンバーの偶数、奇数で分けるだけでなく3分の1以下に減らし、
石炭発電を止め、石炭を使った工場は全て操業を停止させる位の措置を講じる必要がある。
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まるで夜の風景のように見える7日の北京市内 (スペインTVE)
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しかし、そんなことはそうたやすく出来ることではない。 車両のナンバーによる偶数、奇数規制が敷かれただけで、企業は生産や販売が激減し、個人は動きが止まって消費が落ち込むことになる。 石炭についても、
総発電量の70%を石炭発電に頼っているだけでなく、石炭を発熱に使っている工場が今も多いだけに、石炭の使用を一気に減らすことなど不可能だ。 現に石炭発電をおさえ石炭使用工場を少なくしようとしたところ、値段の下がった石炭を家庭の暖房に使う家庭が増えてしまって、CO2削減が一向に進まないのが現状である。
株価下落など経済対策に対する政府への不信感、さらには、なおざりにされたままの格差問題や貧富差に対する不平・不満が高まってきているだけに、これから先、今回のような赤色警告
が頻発し暮らしへの影響が広がれば、不平・不満はさらに高まり、社会動乱の発生は避けられなくなってくる。 そしてその時は刻一刻と近づいて来ているのである。
読者はご存じないと思うが、格差の広がりを見る数値として「ジニ係数」と呼ばれる指数がある。 このジニ係数が0・4以上で暴動、0・5以上で革命が起きると言われているが、現在の中国のジニ係数はそれらを遙かに凌駕するが0・73となっているのである。(北京大学中国社会科学調査センター2014年資料 )
この数値は習近平政権があらゆる手を使って、国民の不平や不満を表面化させないようにしていることを示している。 だからこそ、先進国では信じられないことだが、中国政府はGDP(経済成長率)を6%も上乗せして絵空事の好景気を演出したり、
たくさんの死者を出した天津市における爆発事故や、長江の大型観光船の転覆事故の原因の発表を、未だに避けているのである。
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子供専用病院には咳が止まらないなど、具合が悪くなった子供が次々に
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