先日「砂漠の中東諸国で洪水」でお伝えしたように、これまでは洪水とは無縁であった中東のクエートやイラクで豪雨による洪水が次々と発生している。 今回は同じ中東でもイラクやクエートよりは遙かに南に位置する、アラビア半島最南端のイエメンの洪水のニュースである。
先週末にアラビア海で発生したサイクロン・チャパラは西に向かって進み、イエメン沖合のソコトラ島で、高波や暴雨風雨によって80棟の家屋を水没、倒壊させ、100名の住民を負傷させる被害をもたらした後、アラビア半島イエメンに上陸した。
写真を見てもらえれば分かるように、上陸直前のサイクロンの目ははっきりしており、中心の気圧は956ヘクトパスカル、最大風速51メートルとかなりの大きさで、イエメンに上陸したものとしては史上最大のサイクロンであった。
これまでアラビア海で発生したサイクロンは、東の海上に向かいパキスタンやインドに被害を及ぼすのが通常であった。 ところが今回は真反対の西に向かい、イエメンに被害をもたらすところとなったのである。 ソコトラ島やイエメン沿岸部では平年の1年間の降雨量は100ミリ程度。 それが今回はたった1日でそれを上回る130ミリの雨となったのだ。
雨の多い国では、1日の雨量が100ミリ前後で驚くことも被害の出ることもないが、まとまった雨など降ったことのないクエートのような国々では、雨に対する設備がまったく整っていないだけに、今回の130ミリの雨はまさに豪雨で、1メートルを越す高さまで浸水した所があったようである。
こうした大雨やサイクロンとはまったく縁のなかったクエートやイエメンのような砂漠地帯で、雨や強風による被害が発生し始めていることは、4年前、ニュージーランドの旅の最中に、ポロハウ長老が私に話して下さった「ウォータークロックの到来」がいま世界的規模で現実となっていることを、はっきりと示している。 『世界に散った龍蛇族よ!』でいち早くそれを知った読者は幸せであった。
穏やかな日本に住んでいては気づかずに終わってしまうが、これが今、世界に広がっている異常気象の実体であるのだ! 中東やアラビア海の位置関係が分からない方もおられると思ったので、下に地図を添付しておいたので参考にして頂きたい。