回避劇の裏側でうごめく実体
米国は31日の議会審議の期限切れで一旦崖から落ちたものの、1日の法案成立劇で再び元の高みに戻されるところと相成った。
覇権国家・米国が演じた見事な茶番劇であった。しかし、そこにはもはや、かっての超大国・米国の勇姿はなかった。
今回成立した法案の内容を見ると、先月20日にオバマ大統領が示したものとさほど変わるものではないようだ。ならば、ここまでドタバタ劇を演ずともクリスマス前に法案の成立が出来たはずである。恐らくその間舞台裏で強者
(つわもの)どもの内部抗争があったはずだ。
法案が可決されたと言っても、富裕層を中心とした増税と歳出の強制削減のうち、今回成立したのは増税案のみ、強制的な歳出削減の開始は2カ月先送りされただけで、議会はこの間に対応策を検討する事になったままである。どうやら、今回合意が難航した真の要因は富裕層への増税問題よりも財政の歳出削減にあったようである。
予定通り強制削減が1月2日から始まると、政府予算が毎年1100億ドル(9兆5000億円)ずつ減少することになり、国防費は9・4%の大幅削減となる。これは、軍需産業と国防総省
の連合体である「軍産複合体」にとって、大きな痛手となる。従って、強制的な歳出削減は彼らにとって認めがたい問題なのだ。
新ドル札の発行の準備が整っていることは下に掲載した新札を見れば明らかで、「新ドル札発行とデノミ」戦略が決して架空の話でないことは確かである。探ってみると、今回
一先ず「財政の崖」が回避されたことによって、オバマ大統領の爆弾発表が先送りされたのには、政府や議会の裏でうごめく者たちのおぞましい駆け引きがあったようである。
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政府や有力議員たちを動かす勢力には大きく分けて2つあり、一つは民間の金融界や産業界で金儲けに走るグループである。もう一つは
「濡れ手に粟(あわ」で軍事費から膨大な利潤を得ようとしている軍産複合体グループである。どうやら、「新ドル発行とデノミ」戦略は前者の目論見で、後者はそうした戦略の実行は後回しにして、目先にぶら下がった戦争による利益獲得を優先すべきだと主張したようである。
その戦争の第一候補は言うまでもなく、イスラエル対イラク、イスラエル対パレスティナである。どちらも表面は平穏を保っているように見えるが、シリア情勢の進み方次第ではいつどうなってもおかしくない状況にある。ある霊能者が先月下旬にオバマ大統領とある人物との激しいやりとりの現場を霊視している。もしもこの人物が軍産複合体の
関係者であったとしたら、「新ドル発行とデノミ」戦略の実行を先延ばしにさせた可能性がある。
それにしても今回のような中途半端な回避策によって、世界中の株式市場が浮かれて、2%を超す株価上昇を演じているのを見ると、金融市場なるものがいかに金の亡者どもの丁半博打の場と化しているかが分かろうというものである。
世界の市場はしばらくは「財政の崖」回避で浮かれた状況が続くことと思われるが、先述したように「財政の強制削減」問題は2ヶ月先に延ばされただけである。さらには前回HPで記した「債務上限額」
問題もまた財務省の緊急避難処置によって、2ヶ月先まで猶予期限を延長したに過ぎないことを忘れてはならない。
小さな峠は越えたもののさらに大きな峠が待っているのだ。
向こう10年間の歳入増は共和党との合意を得るために大幅に減じられ、当初予定していた1兆6000億ドル(140兆円)から
6200億ドル
(54兆円)へと3分の1近くに激減してしまった。
このままだと財政赤字は今後10年間にさらに4兆ドル(350兆円)増加することになり、米国のデフォルトの危機は一段と大きくなってくる。
今米国では、今回のオバマ大統領のクリスマス休暇で使った推定経費・300万ドル(2億5000万円)に対する不満がわき上がっているようである。因みにこの経費は通常経費より大分大きいものとなっているようである。専用機エアフォース・ワンやシークレット・サービスを使っての大名旅行だけに金のかかることは分かるが、それにしても国家財政が破綻に貧しているというのに、国のトップが今もなおこうした浪費を続けているようでは、米国の将来は決して明るくなさそうである。
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