一昨日、帯広、札幌の講演会を終えて帰宅。
むち打ちの症状は続いているが、出発から帰宅までの4日間、体調以上に心配されたのが天候であった。
数日前に北海道東部を襲い9人の死者を出したような暴風雪をもたらす、2つの大型の低気圧の通過が予想されていたからである。
案じていた通り出発の9日(金)、日本海側の石狩地方は低気圧の通過で大荒れ状態。札幌への航空便はほぼ全便が欠航、しかし十勝連峰に遮られて、幸いにも十勝・帯広方面への影響は少なく、飛行機も飛んでくれて
無事帯広に入ることが出来、先ずは一安心。
おかげで翌日10日(土)夜の帯広講演は無事開催することが出来、多くの方々に参加して頂くことが出来た。その日、石狩地方の岩見沢や札幌などは一寸先が見えない猛吹雪で大変な状況。札幌講演会には翌朝向かう予定であったが、夜半に低気圧が去って、次の低気圧
がやって来るまで少し時間が空きそうだったので、その間に札幌へ移動をしようと講演会を終えた後、札幌に向かうことにした。
途中、吹雪と凍結によるスリップが心配されたが、幸いにも風も弱まり夜中の2時に無事ホテルに入ることが出来た。札幌に送ってくれた帯広のスタッフは、朝まで待つと次の暴風雪が心配されたので、その足でとんぼ返り、翌朝5時に無事帯広に戻られたとのことであった。ご支援に感謝、感謝である。
11日(日)の札幌講演会当日は予測通り早朝から次なる低気圧の襲来で、雪が降り風も強かったが、幸いにも前日のような猛吹雪とはならずにすんだため、無事講演会を開催することが出来た。
悪天候の中参加して頂いた方々を前にしては、首の痛みなど愚痴を言っているどころではなかった。それにしても帯広、札幌講演会、二つの低気圧による悪天候の中を駆け抜ける、まさに綱渡りの講演会であった。
異常気象の見本
そんな状況下にあった4日間、関東から九州にかけて日本列島は晴天が続き、気温が急上昇。東京や福岡では春を通り越して夏日となり、テレビには半袖姿の人々が映されてい
た。一方、防寒具の襟を立てて雪道を歩く札幌市内、それは同じ日本とは思えない光景であった。25度を超した本州と氷点下の札幌では、なんと気温差が30度を超えていたのだから、まさに別世界だったわけである。
わずかな緯度の差しかない北海道と本州だが、気候は大違い。それはまさに今地球に起きている異常気象を象徴していた。目を世界に転じれば、ヨーロッパ、米国、東アジアの全域でそうした状況を見ることが出来る。
イングランド南部やフランス
、ベルギー、ドイツなどで真冬並の寒波と50センチ近い大雪に襲われている同じ週末、イタリアやギリシャでは15度から20度の春本番の暑さとなっていた。
米国もまたしかり、中西部から北東部にかけて6000万人の人々が記録的な寒波と暴風雪に見舞われている一方、南部にかけては温暖な日々が続いている。そうした傾向はロシアや韓国、中国においてもまったく同様で、完全に地球の気候が狂ってしまったことを示している。
昨年の夏、北極の氷が大量に溶けたことはご承知の通りであるが、その結果、北極海とその周辺の海水が異常に低温化し、さらにメキシコ湾流などの海流の流れが停滞してしまったこと
が重なり、季節風の流れに大きな変化を生じさせてしまったのだ。
そのため、季節外れの暑さが続く地方があるかと思えば、信じられないような寒さに見舞われる地方も出てくる。どうやら、こうした傾向はこれからますます顕著になって来そうである。
今回の北海道行きはそうした異常気象を実感するうえで、貴重な旅となったようである。
これから先、日本列島は春から初夏にかけて暖かい日々が続くことになりそうだ。しかし、
その間にも各地で異常気象の報告が相次ぐことだろう。今年の夏は昨年のような猛暑ではなく、冷夏になる可能性が大きそうである。地域によっては「涼しい」と言うより、「寒い夏」
となる所も出て来るかもしれない。同じ北海道でも猛暑の太平洋岸と肌寒い日本海岸、そういった別々の状況が発生することになるかもしれない。
首の痛みを忘れ、車中から小型カメラで撮影した写真を掲載したので、夏日を記録した東京や福岡では想像できない帯広と札幌の冬景色をご覧頂き
、気候変動に対する心構えをして頂きたい。