ロシアのエル・テー・エル(RTR)テレビは極東カムチャツカの複数の火山が活溌な火山活動を始めたことを伝えている。火山灰は最高で上空4キロメートルの高さまで舞い上がり、航空機のエンジンを停止させる危険性があるため空の便は全て欠航となっている。
火山の中には最大級の危険レベルに達したものもあるが、専門家はこれから先さらに規模が拡大する可能性があるとして厳重な注意を呼びかけている。
昨年10月10付けのHP「地震と富士山噴火」欄で、富士山の噴火を引き起こす可能性として伊豆小笠原諸島近海の地震
、東海、東南海地震などと共に、「サハリン〜北海道海域の地震」についても記しておいた。
なにゆえ「サハリン〜北海道海域の地震」に触れておいたかというと、9月末から10月にかけて地震学者からの情報として、北海道北部のサハリン沖
からカムチャ
ツカに連なる海域で、地震の発生を予告する大きな大気重力波やさざなみ波、わきたつ雲などが発生していることを知らされていたからである。
幸い今のところ巨大地震の発生には至っていないが、観測された大気重力波はカムチャツカの地殻変動を反映したもので、それが今回の一連の火山活動につながっている可能性はありそうである。
長さ1200キロのカムチャツカ半島は千島列島につながる環太平洋火山帯に属し、20を超す活火山が連なる火山活動の盛んな地帯である。そのため、
毎年何れかの火山が噴火しており、今回の噴火が初めてというわけではない。近年では、主立ったものだけでも1996年にカリムスキー火山、2006年にベズイミャンヌイ火山、2010年に
クリュチェフスカヤ火山、シベルチ火山などが次々に噴火している。
しかし、今回の一連の噴火活動には、これまでの噴火と大きく異なる点がある。その一つは、トルバチク山
(3085m)が昨年11月末に35年ぶりに噴火した後、他の5つの火山が次々と連鎖的に噴火を始めたことである。さらにもう一つの特異点は、火花が150メートルの高さまで上がり、ハワイ島のキラウエア火山に見られるように山腹にドロドロの溶岩が流れ出ていることである。
こうした現象は、これまでカムチャツカの火山活動ではまったく見られない現象であっただけに、火山学者は大変驚き強い危機感を持っているようである。
火口の周囲は1000度、積雪の山腹はマイナス40度、そういった過酷な状況の中で学者が今必死に調べているのは、5つの火山から噴出した溶岩と火山灰の成分がどのように変化するかという点である。それにより、5つの火山の地下でのつながりの有無が分かるからである。
もしも、カムチャツカ半島の火山群の地下で「マグマ溜まり」や「マグマの通り道」がつながり始めているとなると、これから先、大規模な地殻変動によってさらに多くの火山がつながり、半島に連なる2
9の活火山が一斉に火を噴くこともあり得ることになってくる。学者が危惧しているのはその点ではなかろうか。今回、トルバチク山に次いで5つ
の火山が一斉に噴火を始めたのはその前兆なのかもしれない。
カムチャツカ半島は我が国の直ぐ近くであるばかりか、環太平洋火山帯として日本列島の活火山とつながっている。どうやらこれから先、
我々もカムチャツカの火山活動を注意深く見守っていく必要がありそうである。