吹雪が続く札幌と花見の東京
観測史上最も早い桜の開花となった東京。東京だけでなく関東以南は、静岡市の28・0度、甲府市の27.6度、宇都宮市の27・2度と51箇所で、3月としては観測史上最高気温を記録している。一方、
北海道では相変わらず冬の寒さと交通に支障が出るほどの降雪と吹雪の日が続いており、いつまでたっても家の前に積もった雪の山は消えそうにないようだ。
このようにわずかな緯度の違いで、冬と夏の気候が平行し、また同じ1日でも極端な寒暖の差が生じている。東京では3月10日は、日中の最高気温が25.3となったあと、
翌朝には3.8度まで冷え込みその差が何と21.5度に達している。異常気象を裏付けるなんとも凄まじい温度差である。
こうした気象状況をよく把握せずに、「いつもより早い桜見物に出掛けよう!」などと浮かれていては、次第に激しさを増してきている世界的な異常気象を見逃してしまうことになる。ホームページで何回も同じような暴風雪や季節外れの寒波のニュースを掲載するのは、読者に
本格的な異常気象の到来が間近に迫って来ていることを知って欲しいがためである。
近未来のヴィジョンを見せられている人々から寄せられる情報の中に、ここに来て、夏前から始まる本格的な異常気象を告げるものが多くなって来ている。未来予知についてはいかようにも変わることがあり得るので、100%確かとは言い切れないが、もしもそれが現実となるようなら、米国や中国における災害は読者が想像する以上に厳しいものになりそうである。もちろん、我が国とて決して例外ではな
いはずだ。
ここ数日間の、世界的な異常気象の様子を振り返ってみよう。
ロシア
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3月としては130年ぶりの大雪で、雪かきに追われるるモスクワ市民
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一方、気温が20度に達したソチでは、チューリップが咲き誇っている
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3月中旬だというのに、ロシア中央部全域が猛吹雪に襲われている。3月としては130年ぶりの大雪に見舞われているモスクワでは、3日間で1ヶ月分の雪が降り積もり、融解剤
散布による凍結との戦い日が続いている。
春に向かっていたシベリアのノボリスクやトムスクでは雨の降る暖かい日が続いていたが、先週末から気温が一気に−20度まで下がり、再び厳しい冬に逆戻りしている。
また、北方領土の択捉島(えとろふとう)では、貨物船が悪天候や流氷に阻まれて今月2日から入港できない状況が20日以上にわたって続いており、商店の生鮮食品類、肉や乳製品、野菜、果物などの棚はがらがらになっている。
ノーボスチ通信によると、今年の流氷の面積は昨年より20%超広いようで、それが一向に溶けず、退かないのでは貨物船も航行できないわけである。一方、来年の冬の冬季オリンピックが予定されている
ソチでは、気温が20度まで上がり、木々には花が、花壇にはチューリップが咲き誇っている。札幌と東京のようである。
米国
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雪の舞う中で行われたセントパトリックスデーのパレード |
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3月16日は今年で252回目を迎えるセントパトリックスデーのパレードがニューヨークで行われた。昨年は15度を超えて春本番の暖かさの中で行われたが、今年は氷点下、雪の舞い散る中でのパレードとなった
。
その後、春分の日を過ぎても雪と寒さは続き、ニューイングランドでは20日も最高60センチを超える雪とな
り、東海岸のポートランドでは建設中のビルから氷結した多数の氷片が落ちるという、なんとも物騒ではあるが珍しい光景が見られたようである。
こうした季節外れの異常な寒さや吹雪に見舞われ続けている北東部の数百万人の人々は東西に長く伸びた寒冷前線に対して、さすがにうんざりして
来ているようで、ツイッター上では
「Please Go AWAY](どこかに行ってくれ)「Enough Is Enough」(こんなのはもううんざりだ)という嘆きの声が飛び交っている。
一方、緯度がやや下がった中西部、こちらは昨年、広域にわたって猛暑と山火事に見舞われた記憶が生々しい地域だが、その一角コロラド州では、今年もまた早くも山火事が発生し100世帯が避難する事態となっている。被災面積はわずか一日で800エーカー
(約3200平方キロメートル)に達し、火は昨年大きな被害を受けたフォートコリンズ迫っている。
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コロラド州の山火事
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中国
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北京の雪。 降り始めの雪は黄砂で黄色かったというから驚きだ
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卵大の雹によって開けられたリアーガラスの穴
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お隣り中国の上海では、先週は連日20度を超して暖かい日が続いていたが、19日には気温が10度も下がり冬物のコートが手放せない1日となった。また、北京では
18日夜から19日にかけて春の大雪となり多いところでは20センチも積もり、市民を驚かせている。
降り始めの雪は黄砂の影響で地面に落ちた瞬間「黄色い泥水」となり、街頭を走る車両や通行人も泥にまみれたというから凄い。
一方、中国南部一帯は、18日から20日にかけて、強風と豪雨、雹(ひょう)、雷という
文字通りの異常な気象状況に襲われている。
そうした状況を見ると、未来予知のヴィジョンを見せられている人々が伝える、中国が遭遇する前代未聞の巨大自然災害の一端を垣間見せられたようで、心が痛む思いである。
広東省東莞市大嶺山鎮を襲った強風は49.1メートル/秒に達し、雹の大きさは鶏卵大で、2000棟が倒壊。湖南省は竜巻と雹、江西省では雹と雷に襲われ、貴州省では、「東に雹、西に干ばつ」というなんとも
奇っ怪な天候に見舞われている。
国内メディアが伝えるところでは28人が死亡、被災者の数は40万人に達し、3万人が緊急避難している。直接的な経済損出は2.68億元(約41億円)に達したという。なお、「大雪と干ばつ」でお知らせした雲南省や西方地域では、秋から続く干ばつは全く解消される気配がなく、作物への影響が心配されている。
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