異常気象も2年、3年と続く内に、人間だんだん慣らされて来てあまり異常と感じなくなってしまう。そこが恐ろしい点である。「ノアの洪水」も前日までは「おかしな天気が続きますね!」程度の挨拶を交わして、いつもとさして変わらぬ
朝を迎えていたのではないだろうか。
一昨日、日本列島は全国112ヶ所の地点で30度を超す猛暑日を記録、まるで8月の気温と勘違いしてしまいそうな数値である。八ヶ岳山麓でも夏日となり、空には入道雲が湧いて雷が鳴っていた。これはどう見ても8月の天候で、とても5月中旬の天気ではない。それでも皆、特段驚くわけでもなく、「今年
の夏は暑くなりそうですね!」で終わっている。慣れとは恐ろしいものである。
今や世界中が異常気象に襲われている。インドやバングラデシュ、ミャンマーは今が一番暑い時期、それでも40度を超す猛暑日はそんなに多くはない。しかし、今年は連日40度を超しており、15日には、ニューデリーで42度、北西部のベルメルではなんと4
5度を記録。まさに「うだる」ような日々が続いている。
ペルー・アマゾンを探索中、気温40度、湿度100%と言う猛暑、猛湿度を何度も体験した私でも、45度という高温は想像できない。人間はこんな高温に耐えられるものだろうか? 考えただけでも、目がクラクラし、汗が噴き出してきそうである。
モスクワの暑さもまた異常だ。春先まで100年ぶりの大雪で動きが取れない日々が続いていたというのに、このところ一気に暑くなり、平年の気温は18度位だというのに、今週初めから30度近
い日が続き、130年間で一番の暑さとなっている。
ロシア北部のシベリアでも、20度を超す日が何日も続き、雪解けが一気に進んで大規模な洪水が発生している。今年の冬は積雪量が異常に多かっただけに、それが
一気に溶けてしまったら、たまったものではない。
北半球が全て暑いというわけではない。同じヨーロッパでも西部地帯は平均を大きく下回る気温が続いており、イギリス南部のシュロップシャーでは、季節外れの雪が降っている。最近の気候は、1ヶ月の中に、
あるいは1日の中で春夏秋冬を体験することができる。夜中から明け方にかけて冬を、午前中に春、昼には夏、夕方には秋をである。