記録的な北半球の大雪と寒波
ロシア
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道路を覆ったモスクワの雪
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オーストラリアのシドニーでは 1月18日に最高気温が観測史上最高の46.5度まで上昇
するなど、南半球一帯が高温に襲われている一方で、北半球はロシアからインドに至るまで東西南北広地域に渡って、記録的な寒波と大雪に見舞われている。
前例のない豪雪に見舞われているのがロシア。容赦ない大雪は交通機関を麻痺させ、いくつかの村や町は現在も雪により分断され孤立し
た状態が続いている。1月18日、首都モスクワでは、1日で1月の1ヶ月分の降雪量に相当する雪が降り、交通機関が完全にストップするという
事態となっている。
空港はほぼ全便がストップ、 12,000台の除雪車が四六時中、道路の除雪作業にあたったが、交通麻痺を解消することはできなかった。
ロシアのテレビは、場所によっては「雪の津波」が街一面を覆い、車も家も飲み込まれてしまったところもあるようだと伝えている。
イギリス
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ロンドンの雪景色
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イギリスでは今週、警戒警報が出されたウェールズ南部をはじめ、各地で大雪となった。空の便で欠航が相次いだほか、ロンドンとベルギーのブリュッセルを結ぶユーロスターでも運休が出るなど、雪の影響で交通網
が大きく混乱した
。休校した学校の数は 3000校を超えた。
アメリカ
昨年の平均気温が史上最高値となった米国、その流れが続いて暖かい日が続いていた米国にも北東部から中西部にかけて今年初めての強い寒波が襲来、五大湖周辺
の ウィニペグでは−29度、トロントで−20度と記録的な寒さとなった。
シカゴでは日中の気温が20日(日)には9度と3月並の温かさだったが22日(火)には、−12度と一気に20度も下がって平年を10度も下回る寒さに襲われ
、市民を驚かしている。この寒さは22日から23日にかけ東海岸のニューヨークやワシントンにも達し、ニューヨークは−12度と平年を8度も下回る寒波に襲われている。
その一方で、西海岸沿いのロサンゼルスは28度と平年を8度も上回る真夏の気候となっている。こうしてみてみると、同じ米国の中でも真っ逆さまな現象が起きており、高温にしろ低温にしろ、平年の気温というものが参考にならない異常気象になっていることが分かる。
クロアチア
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雪解けで川が氾濫したカルロバツ
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イタリア半島の付け根にあるクロアチアでも悲惨な状況に見舞われている。中心部のカルロバツではこのところ大雪が続いていたが、22日には気温が上がって雪が雨に変わり、大量の雪が一気に溶け始めたため川が氾濫し洪水に襲われている。まさに異常気象の典型的な災害である。
チリ
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水道水を手に入れるためバケツやポリを持って並ぶサンティアゴの主婦達
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南米チリの首都サンティアゴでは平年を上回る30度を超す天気が続き、この暑さでアンデス山脈に積もった大量の雪が解けて洪水や地滑りが起き、浄水場が閉鎖されたために多くの市民が飲み水の確保に奔走している。アンデス山脈の雪解け水は我々の想像を絶するほど大量の水を発生させるため、チリに限らずペルーなどでも大洪水をもたらすことが多い。
私が研究しているカブレラストーンがイカ地方のオクカヘ砂漠から出土し、人の目に触れるようになったのも、1960年台のはじめにイカ地方を襲ったアンデス山脈の雪解け水による大洪水であった。この雪解け水はイカに近いナスカ地方にも被害をもたらす危険性が大きいので、世界遺産である「ナスカの地上絵」を破壊することにならないかと心配である。
ベトナム
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どう見ても南アジア・ベトナムの街景色ではない
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東南アジア各地でも、ベトナムやタイの北部で異例の寒波に見舞われている。ベ
トナムの首都ハノイ周辺ではで10度を下回る寒波のために体調を崩す人が続出していて、病院では運ばれてくる人々を収容する場所も、診察する時間もなくなってきている
。
インド
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インド・シムラーの雪景色。北海道の街並みのようである
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インドの首都デイリーなど北部を襲っている厳しい寒さについては、前回「オーストラリアの猛暑」で報告した
通りだが、上の写真はインドのシムラーという地域の
1月18日の様子である。この地域一帯はもう2週間も雪が降り続けているようである。高原にあるシムラーはインドの中では冬は寒い場所の一つであるが、こんなに長く雪が降り続けるのは記録的とか。気温もあと
0.2度下がれば、40年前の低温記録を抜き、観測史上最低気温を更新することになるようである。
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