拡大するタスマニア島の山火事
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記録的な猛暑と乾燥に襲われたタスマニア島では、130ヶ所で山火事が発生している
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この冬、欧州からアジアにかけては記録的な超寒波が襲来しており、ロシアの東シベリア地方ではマイナス55度という信じられない寒さに襲われている。こうした状況は北半球のこと。
一方目を転じると、真夏を迎えた南半球の各地では猛暑と異常乾燥に襲われている。
龍蛇族の謎を追ってニュージーランドを訪れたのは今から2年前の2011年、隣国オーストラリア北東部クイーンズランド一帯は大洪水に襲われており、ワイタハ族のポロハウ長老が
語ってくれたウォーター・クロックの到来を実感するところとなった。
オーストラリアと言えばここ十数年、干ばつと洪水という両極端の異常気象に見舞われ続け、農家の方だけでなく、一般国民の日常的な生活環境にまで被害が及んで
いる。私のHPを遡って頂いて、2009年2月掲載の「広がる異変」(熱波と山火事)や9月の「広がる異常気象」(干ばつと砂嵐)などを見て頂くと、 いかに長期間にわたって異常気象に襲われ続けているかが分かるはずだ。
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クイーンズランド州の洪水(2009年2月) |
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砂嵐で赤く染まるシドニーの空(2009年9月)
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そうしたオーストラリアであるが今年に入って早々、再び過去80年で最高の猛暑に見舞われ、南東部の都市シドニーは平年気温を19度も上回る45度、西南部の
パースは10度上回る40度という記録的な高温となっている。中でもタスマン海に浮かぶタスマニア島では41.
8度という観測史上最高の高温に襲われている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、かつて無いほどの暑さのため気象予報士たちは気象画面上に新しい色の深紫とピンクを加えねばならなくなった、と報じている。
オーストラリアと聞くと多くの方が南の島に浮かぶ暖かい島と考えがちであるが、当時、南部のシドニーがあるニューサウスウェールズ州は
1〜2月の平均の最高気温が26度程であるから、決して
熱帯気候の地ではない。さらに南に位置するタスマニア島は南緯40度を超しておりニュージーランド南島と同じで、南極までわずか2800キロ、夏の平年の最高気温は20度前後
と北海道の札幌よりも低めの気温である。
このタスマニア島で41・8度というから住民はさぞかし驚き、暑さに悲鳴を上げていることだろう
。さらに悪いことにここ数ヶ月まったく雨が降らない日々が続いているため空気が乾燥し、湿度は平年の50%から10%まで低下している
。
その結果、年明けから山火事が相次いでおり、既に130ヶ所以上が被災し
、7日までに、ホバート郊外の町などで学校や警察署を含む100近くの建物が焼失、
現地に通じる道路は火災のため通行できなくなり、住民は海路と空路で被災地を脱出している。 昨年夏の米国中西部の記録的な山火事が思い出
される。
猛暑のアルゼンチン、寒波のインド
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インドの首都デリーで焚き火に当たって暖を取る市民
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南半球の猛暑はオーストラリアだけではない。南米のアルゼンチン最大の都市ブエノスアイレスも猛烈な熱波に見舞われている。さらに停電と燃料不足が加わって冷房が効かない
上に、電灯や市街地の信号も消えてしまって街のあちらこちらで大混乱に陥っているようである。
一方、北半球の寒波もまた欧州やアジア北部だけではないようだ。今年の冬は北インド地方も非常に厳しい寒さとなっており、凍死者の数は、
1日に20人を超し累計で129名に達している。首都デリーもまた厳しい寒さが続いており、数日前には2.7度という最低気温を記録している。
都市とは言え暖房が完備された家に住む人が少ないだけに、ここ数日の寒さには難儀しているようだ。
寒波に襲われているシベリアのマイナス55度と猛暑のシドニーの45度、なんと寒暖の差は100度に達する。今や地球は温暖化と寒冷化が同居し
、季節により場所によって暑さと寒さが極端になって来ている。いずれどちらかに収束していくことになるのだろうが、その前に人類は更なる異常気象に遭遇し
、想像を絶する艱難辛苦を味わうことになりそうである。
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