異例の規模 毒性高い新種は人工菌か?
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ハンブルクの病院を訪れたバール保健相 ロイター |
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ドイツを中心に感染性や毒性が強い腸管出血性大腸菌「O(オー)104」の感染が広がり、欧州全域、さらにはロシアでも不安が広がり始めている。現時点で、患者の数は13ヶ国に及び2000人、死者の数も既に20人を超してきており、これから先どこまで広がるか分からない状況である。
腸管出血性大腸菌の感染で引き起こされ、急性腎不全などにつながる溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症者は、単一の感染事例としては約150人が最大だったが、今回は470人。また通常は子供や高齢者がHUSを発症しやすいといわれているが、今回は約8割が18才以上という特徴があり、これまでの大腸菌とは様相が異なるようである。
我が国でもつい先頃、焼き肉チェーン店で4人が死亡する事件が起きたが、この時の菌は同じ大腸菌でも「O111」、以前、堺市などで1万人を越す大流行となった食中毒事件の犯人は「O157」で、欧州を騒がせている菌とは種類が違う。
今回の大腸菌騒動の発生には、幾つか不可解な点がある。
一つが、菌の種類「O104」が、これまでに人体に悪影響を及ばしたことはなかったという点である。ということはO104菌のDNAに何らかの事情で変化が生じたということになる。問題は、この変化が自然発生的なものなのか、人為的なものなのかという点である。
気になるのは、O104が腸菅出血を発生させる「シガ毒素」だけでなく、北京ゲノム研究所の調査によると、別の食中毒の原因菌、サルモネラ菌の遺伝子もあわせ持っていることが分かったという点である。こうしたことは通常ではあり得ないことのようなので、人の手が加えられた可能性が大きくなってくる。
不可解な点の2点目は、感染源は肉類や肉汁がついた野菜、まな板などではないかといわれているが、英科学誌ネイチャーによるとO104菌はこれまで、動物の体内で見つかったことがないという点である。
O111やO157菌は牛などの腸にいる常在菌なので、この菌に異常が発生した際には、野菜などを通して人間に感染する可能性はあるが、牛や他の動物の胎内にないとすると、そもそもこの異常な菌はどこから発生したのかが不可解である。試験管の中がその発生源ではなかっ
たのか、そう思えてくる。
3点目は、発生源だけでなく、感染元(感性ルート)がいまだにはっきりしないという点である。当初は輸入しているスペイン産のキュウリを食したこととなっていたが、それが間違いであったことから、国内の野菜キュウリ、レタス、モヤシを加工したドイツ北部のリューベックのレストランか、ハンブルグの港祭りではないかと言われ始めている。
「ハンブルグの港祭り」は150万人が集まる大きなイベントである。菌を大量にばらまくにはうってつけの場所である。この点も気になるところである。スペイン産のキュウリ説は発生源、感染ルートを惑わずための偽情報ではなかったのではなかろうか。
世に「不安」と「恐怖心」、「争い」の種をまき散らす「邪悪な存在」がいることは、これまでも何度か述べてきたが、こうして見てみると、今回もその一環である可能性は決してゼロではなさそうである。なぜ今回の騒動がドイツで発生したのか? 世界に先駆けて原子力発電の全廃宣言を出したことと関係がなかったのか? スペイン国債の購入を渋ることとは関係がなかったのか? こうして点もしっかり考えてみておく必要がありそうだ。
それにしても、風評被害で230億円の被害額と7万人を超す失業者が発生したスペインの農家は気の毒であるが、これから先も、発生源、発生ルートがはっきりしないまま事態が拡大していくようだと、今度はドイツの農家も大変なことになってくる。