完全に干し上がった中国最大の淡水湖「鄱陽湖」
中国最長の河「長江」の水量が激減し、その中下流地域が50年ぶりの深刻な干ばつに見舞われていることは、5月13日に「中国情報」で掲載
した通りである。
このため、中国の第1、第2の規模を誇る淡水湖の水が干上がるという事態が発生し、その沿岸の湖南、湖北、安徽、江西などの食糧主要生産地では、極度な水不足で米や麦の収穫が絶望的な状態になってきており、一部の地域では住民の生活用水も確保できない状況が続いている。
江西省北部、長江の南岸に位置する中国最大の淡水湖・鄱陽湖
(はようこ)は下の写真の通り、昔から墨絵に描かれたり、有名な詩句にも読まれた風光明媚な湖であった。また、調べてみると、湖には非常に多くの珍獣と魚が棲息し、魚の種類は100種以上に達しており、まわりの平原は水稲、黄麻、麦、大豆などを産出して、江西省の主要な農業区である、と記されている。
その自然に恵まれた湖が、「百年に一度」の干ばつという最悪な状況にあり、湖の広範囲で水が干し上がって、湖底の亀裂は10センチ以上に及んで
いる。その凄さは上段の写真の通りであるが、湖の大きさは3210平方キロメートル、琵琶湖のおよそ5倍であることを考えると、これだけの大きな湖が干し上がるということが、どれだけ異常であるかが分かろうというものである。
また、同じく長江沿岸にある湖南省の中国第二規模の淡水湖・洞庭湖もまた、水の激減により草原と化してい
るところをみると、長江の水位がいかに下がっているかが分かる。もしも、琵琶湖が干し上がり、淀川の水位が40%まで低下したら、滋賀県から大阪にかけての周辺の都市が壊滅的な状態になることは、誰にでも想像がつくはずだ。
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かっての鄱陽湖の景観
上段と同じ湖の写真とは信じられない素晴らしい景観が写っている |
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ところがである、6月に入ったとたん様相は一転して、今度は大洪水の発生である。
周辺のエリアに突如として大雨が降り始めたのである、すわ恵みの雨! と誰もが思うところであるが、ここ1週間ほど前から降り出した雨は一向に止まず、
「恵みの雨」を通り越して「災害の雨」となってしまったのである。まさに、「踏んだり蹴ったり」の災害である。
雨の降るのも度を超したら禍となってしまう。その結果、被災地は干ばつと洪水の被害が同居する形となっており、湖南省では、61万人が干ばつにより飲用水の供給が困難となっている一方、60万人が洪水の被害を受け、住む家や田畑を失いかけている。
これまでに様々な洪水や干ばつの被害は見てきたが、それが同じエリアを襲い、田畑が干し上がり、飲み水までが枯渇している地域が、一転して洪水で家や畑が流
されるなどといった話は、めったに耳にすることではない。それが広大なエリアで起きているとなると、まさに前代未聞である。
この一事を見ただけで、中国において自然破壊がいかに進み、その結果がもたらしている自然災害がどれほど凄まじ状況にあるかが分かろうというものである。
日本のマスコミはほとんどこうした状況を伝えずにいるが、こうした惨状を見ていると、長い間共産党が支配する中国は、今や自然災害と人心動乱による国家的危機が視野に入ってきたのでは、と憂慮せずにはおれなくなってくる。
問題は食糧危機の到来とそれによる暴動の発生である。残念ながら、心配事は福島原発だけではないのである。原発風評で中国に戻った人々の何十万倍もの難民が、一旦、事が起きた際には、日本海を渡って日本に流れ込んでくることすらあり得るのだ。こんな心配事は、是非とも杞憂に終わって欲しいものである。
貴州省で豪雨が発生 21人が死亡
【大紀元日本6月8日】中国貴州省の西南部にある望謨県では、6月6日に豪雨に見舞われ、深刻な水害が起きている。8日の午前7時現在、21人が死亡し、31人の行方不明が確認された。国内メディア各社が伝えた。
それによると、被災者の数が8万人近くに達し、4万5千人余りが緊急避難したという。建物800棟近くが倒壊し、4813棟が半壊や一部損傷などの被害を受けた。県内では一時通信不能に陥り、停電や断水などが発生した。さらに一部の地域では、山崩れが起き交通が遮断されている。