バーナキン議長の発言
アメリカ政府の財政難については幾度か触れてきたが、14日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の下記の発言を聞くと、いよいよ来るところまで来たという感じである。
3月4日に資金不足に陥ったアメリカ政府は、緊急補正予算の発動でとりあえず一部の政府機関の閉鎖を乗り切ったが、議会で14兆3000億ドル(1100兆円)に設定されている法定債務上限額の引き上げの決定を下さないと、デフォルト(債務不履行)に陥る事態が刻々と迫ってきている。
世界にばらまいた米国債元本償還や金利の支払いが出来なくなってしまうからである。もはやアメリカはギリシャやスペインの心配をしているどころではない。基軸通貨国たるおのれの国の財政危機により、国家的デフォルトが目前に迫って来ているのだ。
今回もまた、見せかけの経済発展を保とうとしている輩たちが、法定債務上限の引き上げに持ち込み、デフォルトは一時的に回避されることだろうが、
アメリカの財政危機は今や、FRBが発行してきた国債が「トリプルA」の格付けを失う恐れがあるどころか、基軸通貨としてのドルの地位さえもが危ぶまれる状況にまで至っているのである。この点を読者はよく頭に入れておいて欲しい。
異常寒波、大雪、大型竜巻、ミシシッピ川の氾濫、異常高温、山火事と今アメリカは異常気象のオンパレードに襲われている。しかし、ワイタハ族の予言を聞くと、それは序の口に過ぎないようである。更に一方では、国家財政の破綻という大寒難が押し寄せて来ているのだ。
原発事故の処理と財政危機に苦しんでいる日本だが、ロシア、中国、アメリカ ・・・・ こうした国々もみな一歩間違ったら国家の存続そのものが危ぶまれる状態に至っているのである。
ただ実体を知らされていないから、国民はまさかそんなことはあるまいと、安心しているだけのことである。
ついでに申し添えておくと、今年のアメリカの銀行破綻行数は既に48行に達しており、官民共に厳しい状況にあるのは、まぎれもない事実なのだ。
デフォルトが起きると
こうした状況にあるので、可能性は小さいが、議会の審議いかんによっては、一時的なデフォルト(債務不履行)が起きないとも限らない。その際には、米国債の利払いや元本の返済ができなくなり、次のような事態が発生する可能性があるので、付記しておく。
<政府機関の閉鎖>
米政府が新たな債券発行ができなくなれば、連邦政府機関が閉鎖される可能性がある。その結果、政府職員が自宅待機を強いられるほか、債権者や請負業者への支払いや支援金の支払いが不可能になる。前回
一部の政府機関が閉鎖されたのは1995年だった。
債務が上限に到達する8月2日以降の支払い日程は次の通り。
*8月3日:社会保障を受けている5500万人の米国民に対する支払い(610億ドル)
*8月4日:短期国債の満期(300億ドル)
*8月11日:短期国債の満期(270億ドル)
*8月15日:利付き国債の四半期ごとの利払い日(256億ドル)
<外国中央銀行>
米国の多額の債務に対する懸念から、中国人民銀行をはじめとする外国の中央銀行は米国債の購入ペースを落としている。アナリストは、デフォルトになれば外国中銀が米国債を売却するのではないかと懸念している。
3月末時点で、外国人による米国債保有額は4兆4800億ドル(360兆円)。そのうち70%を外国の中央銀行が保有している。
アメリカの危機を伝える
バーナンキFRB議長の発言
[ワシントン 14日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は14日、米国が14兆3000億ドルに設定されている法定債務上限を引き上げられなかった場合、米国に対する信任が著しく損なわれる恐れがあるとの懸念を示した。
同議長は財政健全化に関する会合での講演の準備原稿で、法定債務上限の引き上げ問題を迅速に解決することができなかった場合、米国は現在受けている最上位の「トリプルA」格付けを失う恐れがあり、また、基軸通貨としてのドルの地位が危ぶまれる可能性があると警告した。
「米国債の元本償還、もしくは金利の支払いがわずかな期間停止されただけでも、金融市場、および支払いシステムにおける深刻な混乱をきたす恐れがある」と述べた。
また、何も措置を講じないことは「米国の信任に対する基本的な不信感を呼び起こし、国際市場でドルと米国債が果たしている特別な役割が長期的に損なわれる恐れがある」と懸念を示した。
バーナンキ議長はさらに、長期的な財政計画を策定するようあらためて要請した。最近の赤字はかなりの部分がリセッション(景気後退)の影響によるものとする一方、財政の「構造的な」大問題が残っていると分析した。
議会や政府は団結して債務削減方法を考えるべきとし、「瀬戸際政策に依存することなく、短期的にそのような計画が達成され得ると期待している」と話した。