13日、夜を徹して話し合われたユーロ圏首脳会議は17時間に及ぶ協議を終了。 出された結果はギリシャへの支援継続であった。 しかし、それにはギリシャ政府に対する厳しい条件がつけられていた。 付加価値税(日本の消費税)の13%から23%への増税、年金支給年齢の67歳への引き下げ、さらには、国有資産の売却などであった。
この結果、ギリシャ政府は15日までに各種の構造改革案を議会で審議し法制化することとなった。 おそらく議会は承認することとなるだろうが、問題は国民がどれだけ納得するかである。 8日前に実施された国民投票で3分の2近くの人々が構想改革案に反対していただけに、素直に納得するとは思えない。
我が国で5%の消費税を8%に引き上げた後で消費が低迷し、10%への引き上げが断念されたことを考えれば、13%から23%への大幅な引き上げがどれほど厳しいかが分かろうというものである。 この5年の間に年金支給額がほぼ半分に引き下げられた上に、受給年齢を67歳まで延ばされ、さらに消費税が10%も引き上げられたらたまらない。
さらに心配なのは、国民の民間銀行への不信感である。 銀行の窓口が閉鎖され、開いた銀行でも1日60ユーロ(8000円)しか引き出しが出来なくなった国民が、銀行業務が再開された後、銀行窓口に殺到して一斉に預金を引き出したら、民間銀行は持ちこたえることが出来なくなってしまう。
その鍵を握っているのは、法制化の後、夏の終わりか秋口に掛けて、ESM(ヨーロッパ安定化機構)から向こう3年間の間に支給される820億ユーロ(約11兆円)とは別に、欧州中央銀行(ECB)がどの段階で、民間銀行を救済のための緊急流動性資金(ELA)を、どれだけ出すかにかかっている。
苦難に直面するのはギリシャだけではない。支援する側の国々においても難問が待ち構えている。 フィンランドやドイツなど北欧の国々の中にはこれ以上の支援に反対する国民が多く、中でも最大の支援国であるドイツではその傾向が強い。 それだけにこれから先、メルケル首相に対する風当たりは強くなることが予想され、支援案の議会通過には一波乱ありそうである。
世界の株式市場はギリシャ問題解決と受け止めて株高に向けて動き出しているが、中国の株の反発と同様、その場誤魔化しに過ぎない延命策に惑わされていると反動は大きく、秋口に掛けて始まることが予想されている世界的な株式市場の混乱が倍加されることになりそうである。
全てがまやかしの世の中、マスコミが伝える風聞に騙されないようにして欲しいものである。 世の中は何一つ良くなっていない、 全てが悪化する一方で、一時しのぎで先延ばししているだけである。 あなたにもそれを実感する時が間もなくやって来ることだろう。