先週末「世界的な株価下落始まる」で記したように、各国の株価の下落は歯止めがきかなくなって来ている。 週初めの昨日は日経平均が900円下げ、問題の中国・上海株価は
−300ポイン、下落率は8・49%と下落傾向が始まった7月以来の最大の下げ幅となった。
世界同時株安の火付けとなった中国株、8月3日には3600ポイントまで下落し、そのご中国政府のなりふり構わぬ市場介入で4000ポイント近くまで盛り返したものの、一時の反発で終わるだろうとした私の予測通り
、早々に下落に転じ、昨日の終値は3209ポイントと最高値から40%近い下落となっている。
世界の株式市場は売買の場所こそ東京や上海、ロンドン、ニューヨークと分かれているが、流れはつながっており同一市場のようなものである。 特に今回の下げ相場は上海の暴落が発端であったゆえ、中国市場の下落が完全に底を打ったと判断されない限り
、下落は全ての市場で続くことになる。 昨夜の欧州市場やニューヨークの590ドルの下落がそれを表している。
中国経済の悪化が想像以上に厳しいことは、以前から繰り返し伝えているとおりである。 今年上半期の国内総生産(GDP)成長率は、政府目標と同じ7・0%。 だが産業活動を反映する電力消費量の伸びの大きな鈍化
や輸出入の対前年比8%を越す減少、動産販売の下落を見れば、とても7%などという高い数値になるはずがない。 中国流のまやかし数値でも4%、世界共通の計算値で言うなら0%
、年末には事実上−の数値となっていることだろう。
一般的な急落なら、ここ2、3日で一端下げ相場は収まり、しばらく上げた後、再び下落に向かうのが通常である。
中国政府も新たな景気刺激策を打ち出すだろうから、そうなる可能性が大きいが、今回の下げは世界の株式市場の崩壊に向かう下落の始まりであることを考えると、このまま歯止め
がかからないまま下落し、大暴落へと向かう可能性もある。
もしも、数日の内に底を打って反発したとしても、遅くても9月の中旬頃からは再び下落が始まり、その時には底なし沼に向かうことになるものと思われる。
世界経済破綻の可能性が強いのは、今回は株価下落と同時に原油安が同時進行しており、世界の景気後退が一段と鮮明になって来ているためである。 2年前には1バーレルあたり110ドルだった原油価格は今年3月に45ドル近くまで下落、その後一端、60ドル台に値を戻したもののここに来て再び下落し、昨日の取引で38ドル台にまで下落している。
その結果、サウジアラビアを始めベネズエラ、ロシア、カナダなど原油産出国の通貨の下落が一段と進み、各国政府の財政は一段と厳しい状況に追いこまれている。 原油価格が60%も値下がりした上に、自国通貨が下落しては国の収入は2重の痛手を受けることになる。
メキシコのペソ、ブラジルのリアルは30%前後下落。 国家財政の94%を原油収入に頼っているベネズエラに至っては、原油安と通貨安のダブルパンチで、3桁台のの猛インフレが発生しており、国家破綻目前となっている。
石油大国サウジアラビアでも窮地を脱するため、年内に270億ドル〈3兆円〉規模の国債を発行せざるを得ない状況に追いこまれている。 気になるのはロシアのルーブルも再び下落してきており、1ドル=70ルーブルとなっていることである。 原油安と通貨安でロシア経済の景気減速が一段と進む可能性が強いだけに、これから先、世界情勢は一段と不透明になり、中国とロシアの外交政策からは目を離せない状況が続きそうである。