6月27日の記事「中国株暴落の兆候」で記したように、中国株が急落して来ている。これ以上
の下げを止めようと、週末に証券会社が結束して2兆5千億円規模の買い支えを実施することを発表した。しかし、週明けの上海市場、月曜日は200ポイントほど上昇したものの、火曜日には再び下げに転じ、昨日は5.9%、220ポイント下げて、3507ポイント
となった。
6月12日の5178ポイントから30%を越す下落となったわけであるが、昨日の5.9%の下げ率は表面上の数値で、実際は10%を越す下げとなっていたのである。 というのは、上場株の半分近い1300ほどの銘柄が
ストップ安などを受けて売買停止になっていたからである。
どうやら政府や証券会社による買い支え策は焼け石に水であったようだ。
一方、香港市場はこのところ上海市場に比べて下げ幅は少なかったが、ここに来て急落し始め、昨日は一時2140ポイント、8.6%という暴落的な下げとなった。
中国政府の半年で4回にわたる利下げや、証券会社を挙げての買い支えによって、一旦は持ち直すかと思われたが、
政府がよほどの手を打たなければこのまま下げ相場が続くことになりそうである。
問題は投資家の中での個人株主の比率の高さである。 特に上海市場においては株主数の比率では80%近
くに達しており、彼らが素人同然であることを考えると、これから先も、彼らは恐怖心に駆られて投げ売りをしてくる可能性が高
そうである。 それと同時に、預金額の3倍近い金額を銀行から借り受けていることや、信用取引によって手持ちの資金の何倍かを投資していることも問題である。
そもそも今回の異常なまでの株価上昇は、「影の銀行」の破綻で銀行に預けていた預金が消えてしまうケースが多発し社会的混乱が危惧されたため、政府が目先を誤魔化そうとして行った政策であると言われている。 その政策が失敗したとなると、まさに油に火を注いだことになる。
「影の銀行」の被害者たち
は全財産を失ったことになるが、株の投資に参加した人々は財産が無に帰しただけでなく、大変な借金を作ったことになる。 現に公に報道されていないが、すでに何人もの自殺者が出ているのである。 影の銀行と株式投資の被害者たちが共に、地方政府や中央政府に憤りを向けることに
なったら、大変な事態が発生することは必至である。
時を同じくして昨日、ニューヨーク証券取引所でシステム障害が発生し、4時間にわたって取引が停止する事態が発生した。 このトラブルは中国株の暴落で神経質になっていたニューヨーク市場に追い打ちをかけることになり、ダウ平均は261ドル安(−1.47%)となり5ヶ月ぶりの安値となった。
サイバー攻撃の可能性は少ないようだが、同じタイミングで経済誌・ウォールストリートジャーナル紙やユナイテット航空のウエブサイトにも障害が発生したことを考えると、今回のシステム障害発生の裏には何か重要なメッセージが隠されている可能性がありそうである。
我が国の株式相場も衝撃を受けているようで、今日10時現在では3%を越す下げで600円(−3%)ほど急落している。 また上海市場も3%を越す下げとなっている。 どうやら、ギリシャ問題
とのダブルクライシスとなって世界の株式市場は、いよいよ大波乱の幕を開けようとしているようである。
しばらく上がり下がりが続くものと思われるが、その後どのように進んでいくのか、読者におかれては
その動きをしっかり注視しておいて頂きたい。 明日は我が身となるからである。