ドイツで高まる難民への反発感情
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極右勢力による難民排斥デモが暴徒化し、警察官30余人が負傷
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先日、「難民が渡るバルカンルートの実体」で記したように、今ヨーロッパへは中近東やアフリカなどから大変な数の難民が、地中海経由やバルカン半島経由で流入してきており、ヨーロッパ各国のテレビはこのところ連日のようにその様子を伝えている。
バルカンルートの途中にあるハンガリーでは、今月末までに隣国セルビアとの間に高さ4メートルの柵を完成させようとしている。 それを知っている難民たちは、それまでになんとしても渡りきろうと必死。 そのためギリシャから、マケドニア、セルビア、ハンガリーを経由するバルカンルートには毎日3000人を超す難民が次々と押し寄せている。
そうした難民たちにとって移住先として最も希望の多いのがドイツ。 景気減速のヨーロッパの中で、今もなお経済が堅調で受け入れに寛容な国だと考えられているからである。 そのため、今年のドイツへの入国者数は昨年の4倍、80万人に達しようとしている。
そんな難民たちの憧れの国ドイツであるが、確かに国民の多くはナチスによるユダヤ人虐殺の記憶もあることから、移民や難民の受け入れには寛容な心を持った人々が多いようだ。 しかし、ここに来て難民受け入れに対し反発感情が高まってきている面も見え始めており、特に極右勢力による暴力的な反発行動が頻発し始めてきている。
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先週末から、ドイツ南西部や東部などで難民施設の放火事件が次々と発生している
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そうした中、難民受け入れ施設を狙った放火や破壊行動が次第に多くなって来ており、先週末から今週にかけて東部や南西部などで、難民施設を狙った放火や難民への暴力的行為が多数発生している。 ドイツ内務省の発表によると、同様な犯罪が今年上半期だけで200件に達しているようである。 ドイツの状況がこうした事を考えると、他のヨーロッパ諸国で同様な事件が起きていることが分かろうというものである。
飲み食いも寝起きもままならぬまま、数ヶ月間をかけて渡ってくる難民も大変だが、受け入れ国も通過国もみなそれぞれ大変である。 先日、ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領が難民問題で話し合っておられたが、中近東やアフリカ諸国の内乱状態が一向に収まる気配が見えない現状を考えると、これから先、難民、移民の流入は決して終息することはなさそうである。
それどころか、世界経済が混乱状況に突入しようとしている現状を考えると、難民、移民問題はこれから先、一段とヨーロッパ諸国だけでなく世界中の先進国を揺るがす問題となりそうである。 中でも中国国内の争乱が間近に迫ってきているだけに、我が国にとっては一段と切実感が強く、他人事では済まされない難問である。
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幼い子供3人を連れてドイツを目指すシリアからの難民。 この親子たちは
目指す国で難民排斥運動が高まっていることを知らないだろう。
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これから先、ヨーロッパの多くの国々で、こうした悲惨な光景が見られることになりそうである
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