世界が注目する中16日から開かれていた米連邦公開市場委員会の意向を受けて、FRB〈米連邦準備制度理事会)は金利の利上げを見送ることになった。 利上げの決定を左右するとされれ失業率と物価上昇率。 失業率は8月に5・1%まで減少したものの、物価上昇率が目標の2%に届かなかったことが、見送りの要因となったようだが、一番の要因は中国の株価暴落による世界経済の減速懸念の広がりであったようだ。
本来なら利上げ見送りによって株価は上昇して当然だが、イエレンFRB議長の先延ばしの発表を受けて、ダウ平均は高値から300ドルほど急落し、終値はマイナス65ドルとなってしまった。 世界で唯一景気回復が続いていると言われている米国経済だが、実は巷間いわれているほど確かなものでないのではないかという懸念、それにこれから先、中国の経済に振り回されることへの懸念が相まってものと思われる。
もともと金利引き下げを実施した要因はリーマンショックからの景気回復であったわけだが、7年間にもわたって続けてきたゼロ金利政策は、実体経済とは相反した異常な株高と、不動産価格の上昇をもたらすところとなった。 そのため、FRBに対して以前からゼロ金利政策解除に後れをとっているという批判が出ていた。
このままいつまでもゼロ金利を続けることは出来ないだけに、年内には引き上げることになると思われるが、10月の実施は一歩間違うと公的機関の閉鎖リスク、また12月には資金需要の高まりによるパニックなどが予想されるだけに、米国の中央銀行であるFRB〈米連邦準備制度理事会)はますます判断が難しくなってくることは確かだ。
ゼロ金利政策でだぶついたマネーがばらまかれていた発展途上国、トルコ、ブラジル、インドネシア、マレーシア、南アフリカなどでは、米国へのマネーの引き上げが始まるのではないかとされ、ここに来てを大幅な通貨安でインフレが発生し、国民生活に打撃を与え始めている。