難民を生む環境さらに悪化
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ハンガリーの警察と争う難民。可哀想に子供は雨でびっしょり 〈米国ABCニュース)
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ヨーロッパにおける難民問題、その受け入れを巡ってEU各国の足並みが揃わない中、80万人の受け入れを表明しているドイツにおいても、検問所を設け一時的に受け入れを制限することになったようである。 難民を乗せた列車が次々と到着するミュンヘン駅、難民の数はこの1週間で6万人を越して来ている。 ボランティアが必死の支援活動を続けているが、それも限界に達しようとしており、各都市に分散するための体制が整うまで、制限をせざるを得ない状況に陥っているようである。
シリアやアフガニスタン、アフリカ各地などからヨーロッパを目指す難民の避難ルートには、リビア沖からイタリアやスペインを目指す「地中海ルート」と、トルコからギリシャを経由する「バルカンルート」があることは、「難民が渡るバルカンルートの実体」でお知らせした通りであが、実はもう一つ、あまり知られていないルートがあるのだ。
それはトルコからロシアを経由してノールウェーへ渡る「北極圏ルート」である。 モスクワへは飛行機、そこから先は列車や車で北極圏の都市ルムマンスクへ、さらには自転車を使って国境検問所をと通り抜け、ノールウエーへと進む。 ルムマンスクの町は私が北極点に向かったとき、一時滞在した都市であるだけにその寒さの厳しさは体験済み。 真夏を過ぎたこれからのシーズンは大変だ。
ただこのルートは他の2つのルートに比べ、かかる費用と日数が少なくて済むようである。 しかし、どのルートもみな苦難の道には変わりはなく、そんな艱難辛苦を経てもなんとかヨーロッパ入りを果たしたいとしている難民の姿を見ると、シリアやアフガニスタンの現状がいかに悲惨であるかが分かろうというものである。
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トルコからモスクワを経由してノルウエーに入る「北極圏ルート」
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エルサレムの神殿を警護するイスラエルの警官。 〈ドイツZDF)
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こうした状況が発生した要因は中近東諸国における紛争であるわけだが、そうした状況は今もなんら改善されないまま続いている。 それどころか、昨日あたりからイエメンの紛争に、サウジアラビアを中心とした湾岸諸国が地上部隊を参加させており、イスラム国・ISを巻き込んだだ三つどもえ戦闘は一段と泥沼化していきそうである。
また一方、昨年7〜8月のイスラエルとの戦闘が終わって1年余のパレスチナのガザ地区では、復興が一向に進まない中、今度はエルサレムの旧市街地にあるある神殿の丘で、イスラエルの警察とパラスティナ人の若者との間で衝突が発生し、死傷者が出る事態となっている。 こうした衝突は再びイスラエル軍とハマスとの戦闘再開に結びつく可能性が大きいだけに、最後の皆既月食〈テトラット)が近づく中、中東情勢のさらなる悪化が懸念されるところである。
もう一点、気になるのが11日にサウジアラビアのメッカで起きた「聖モスク」倒壊事故である。 間もなく始まる大巡礼に備えて改造が為されていたモスクに巨大なクレーンが倒れ、巡礼者
を含む百数十人の死者と200人を越す負傷者が出た大事故である。
この事故は、イスラム教徒にとって最大の聖地である巡礼の地
・メッカで起きた事故だけに、これから先イスラム圏の政情が一段と混迷を深めることを予言しているようで、心配である。
さらに気になるのは、この倒れたクレーンを所有する会社がビン・ラディン一族の所有する建設会社という点である。
ビン・ラディンと言えば、事故の起きた日が、奇妙な事に彼が首謀者とされる2001年の同時テロ事件の発生日・9月11日と同じ日である。
「闇の勢力」に利用され無残に殺された彼の無念のエネルギーが引き起こしたような、なんとも奇っ怪な事故である。 いずれにしろ、これから先の中東情勢の悪化は、ヨーロッパ諸国の難民問題を一段と難しくするだけに、ますます目が離せなくなって来そうである。
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9日、大規模な倒壊事故が発生した巡礼の地・メッカの大モスク
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