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長期間、長時間の協議を終え、最終合意にこぎつけた「イラン核協議」。
しかし、単純に喜んではいられないようである。(ドイツZDF)

 
 

ギリシャ問題と並んで進められてきたイランの核開発問題、17時間にわたる協議の末、日本時間の昨夜、ようやく合意に達した。 3度にわたる交渉延期を経ての成果であった。 一番の問題とされていた核兵器開発の疑惑があるとされる軍事施設への立ち入りについて、米国とイランとの間で歩み寄りがあったためである。

この合意によって中東最大の火種と言われてきたイランの核問題解決について、大きく一歩を踏み出した事は間違いなく、合意を受けて、米国のオバマ大統領は「中東と世界の安全に希望が灯った、新しい一歩となるだろう」と発表、イランのロウハニ大統領も「歴史的な合意」だとして歓迎の意を伝えている。

これで、イランは石油の輸出などの制裁が解除され、通貨リアル安も徐々に解消し、高いインフレ率に悩まされ続けてきた市民はホッとすることだろう。 何よりも大きなインパクトは、中東におけるイランの立場が大きくなることである。 

豊富な石油や天然ガスなどの天然資源に恵まれていることだけでなく、歴史的にも中東の大国的存在であっただけに、シリアやイラクなどシーア派国のの重鎮として、これから先、どのような動きを見せるか再び世界の注目を浴びることになりそうである。

ただ今回の合意の内容を調べてみると、協議の争点となっていた軍事施設への立ち入りや、制裁解除について一部問題が残されているようなので、今後、合意内容を実行に移す段階で双方の解釈の違いが出て、再び問題が浮き彫りになる可能性はありそうだ。 そのため、しばらくは紆余曲折が続くことになるかもしれない。

問題は、今回の合意を中東の大国の一つであるスンニ派のサウジアラビアと、長年の宿敵イスラエルが、今回の合意を受けてどう動くかである。 最近のイエメンの内戦はシーア派対スンニ派の対立に、アルカイダやイスラム国などの過激派が加わって混迷を深めている面もあるので、スンニ派の大国サウジアラビアとシーア派の大国イランとの対立は、注視しておく必要がありそうだ。

それにも増して心配なのは、イスラエルの出方である。イランの核開発問題を自国の安全保障にとって脅威と位置づけているイスラエル政府は、合意内容はイランの核開発を止める物となっていないとした上で、今回の合意を「歴史的な過ち」だとしている。

ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府は、これから先、独自の行動をとることになるのではないかと思われが。その一つとして、イランの核施設への空爆の可能性も決して小さくない。私はそう思っている。なぜなら過去に同じこと実行しており、歴史は繰り返されることになるかもしれないからである。

それにしても、イスラエルという国はなんとも身勝手な国である。イランの核開発が脅威なら,自国が保有している大量の核爆弾は他国にとって脅威ではないというのか。 巨大なカルマを背負ったイスラエルはここに来て、また新たなカルマを積むことになるかもしれない。 どうやらこれから先,ますます中東情勢から目が離せなくなって来そうである。

 




 

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