昨日遅くに記した「米国の利上げあり得るか」で、日本時間の昨夜発表の8月の米国の経済指標に注目していることを記した。 発表されるその数値は世界が注視している、米国の利上げの実施の有無を左右することになる重要な指標であるからである。 読んでおられない方は先にそちらを読んで頂きたい。
発表された数値は、就業者数の増加については市場の予想値の22万人を下回り17万3000人となった一方、失業率は市場の予測値より改善され5.1%となった。 結果的には、先行きの景気を判断する上で強弱両面が出たことになる。
就業者数が市場の予想値や7月の24万5000人に比べて大幅な減少となったことは、利上げの確率を小さくする一方、失業率の5.1%は逆に確率を大きくする良好な数値であったため、9月の利上げの有無については再び意見が分かれるところとなった。
ただ昨日のニューヨーク市場の株価が272ドルと大幅な下落となったところを見ると、中国の株価下落で利上げが遠のいたとする観測が広まっていたが、利上げの可能性が増したと判断する市場関係者が増えたようである。
あとは、我が国の日本銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)が、17〜18日に行われる理事会で下す判断を待つだけである。 ただはっきりしたことは、利上げが株式市場に及ぼす影響が予想以上に大きくなりそうだということである。
リーマンショック以来、大量のマネーのばらまきとゼロ金利政策によって景気回復をはかってきたわけであるが、発表される経済指標ほど景気の回復が進んでいないことは事実である。 史上最高値を更新し続けて来た株高で潤った富裕層がいる一方、賃金をカットされたり、非常勤雇用になって苦しい生活を余儀なくされている人々が増加し
て来ているのが実体である。
そうした状況下で金利が引き上げられたら、株式市場にばらまかれたマネーは一気に回収され、実体経済以上に大きく水ぶくれしていた株価が下方修正される可能性は大きい。 利上げの有無については、しばらくは不透明感
の強い動きが続くこととなりそうであるが、当面気になるのは、中国の株価の動きである。
先ずは、来週週明けの中国市場、特に上海株の動きに注目である。 いずれにしろ、中国の景気回復は絶望的だし、米国の利上げは9月は見送られたとしても年内の利上げは避けられそうもないため、私はこれから先、世界の株価が順調に回復すると
いうことはあり得ないと考えている。