政府当局、必死の報道規制
|
|
|
|
有害ガスに対して完全防備の装備で対応する関係者
|
|
8月12日に発生した中国・天津市の大規模爆発事故、前回のHP「想像を絶する天津・爆発事故」で記した通り、危険物保管のずさんさと有毒ガス発生による危険が大きな問題となって来た。 先ず驚かされたのは倉庫には爆薬の原材料になる硝酸アンモニウム800トンや花火や爆竹に使われる硝酸カリウムなど40種類、3000トンもの危険物が保管されていたことである。
テレビはそれはまるで爆薬庫のようであったと伝えていりが、そんな危険な倉庫が住民の住む町の中に作られ、運営されていたとは信じ難いことである。 中国政府のこれまでの行政を見ているとさもありなんと思うが、被害にあった近隣の住民はたまったものではない。 もはや彼らは家に戻ることすら出来ないのだから。
爆発現場の状況について取材した国営の中国中央テレビは、消防当局の幹部が、「爆発現場で採取した空気のサンプルを検査した結果、シアン化ナトリウムと神経ガスの2種類の有毒ガスが検出され、そのレベルは最高だった」と語っていることを伝えている。
|
|
|
|
国営の中国中央テレビが伝えた、「神経ガス」検出の事実を語る消防当局の幹部
|
|
神経ガスというのは人や動物の神経に作用するガスの総称で、地下鉄サリン事件で使われたあのサリンもその一種である。 つまり、検出された空気中のガスを吸えば、筋肉の麻痺や痙攣を引き起こすだけでなく、死に至ることもあるというわけである。
問題は、昨日の午後になって中央テレビ局のホームページから問題の番組の動画が削除されてしまったことである。 政府当局からの力が加わったことは明々白々。 さらに天津市政府も記者会見でこれまでのところ、神経ガスの検出はされていないと発表している。 行政当局は事実隠しに必死である。
削除されたテレビで、神経ガスの検出とそのレベルが最高だった、と語る消防局の幹部の語り口を見ていると、それが間違いない事実であることが感じられる。 それも漏れた度合いが最高レベルだというから恐ろしい。 それを力ずくで否定し映像を削除するということは、政府当局がいかに神経ガスの発生の事実を恐れているかを如実に物語っている。
それは即、今回の大惨事の背景に危険物のずさんな管理を見逃した行政と企業の癒着があったことを示しており、行政側がその事実を知られることによって、市民の不満が爆発することを恐れていることを表している。 現に甚大な被害を受けた住民や消火活動で亡くなった消防士の家族などが、連日、当局に対する抗議の声を上げている。
|
|
|
|
速くも危険物のずさんな管理に対する政府への不満が爆発している
|
|
これから先、中国トップクラスの商業都市・天津への人の行き来はストップし、経済活動が著しく停滞することは間違いない。 事実、天津港への貨物船の運行は完全に止まっており、日本を始め外国企業へも大きな影響が出始めている。
これから先、中国経済への影響が表面化し、さらに中国株の暴落が重なるような事態になったら、中国社会は一気に混乱状態に向かうことになりそうである。 中国政府がどこまで「まやかし」で、行政と企業との癒着や、官僚族に蔓延している贈収賄の実体を隠し通すことが出来るか、これから先、世界の目が向けられることになりそうである。
日本では報道されていないが、天津の爆発事故の翌日の8月13日には、遼寧省(りょうねいしょう)で液体の漏れによる工業用タンクの爆発・炎上事故、さらには16日には、山東省。青島市でゴム倉庫火災の大事故が発生している。
こうした実体を見れば、これまで中国社会がいかに事故に対する防止策が打ち出されないまま、急激な発展を遂げて来たかが分かろうというものである。 彼らはおのれの出世や利益のためなら、他人のことなどどうでもよいのである。 こうした非人間的な共産党幹部たち治める国が、今や世界の覇権国家になろうとしているのだから恐ろしいことである。 世界でもてはやされている「爆買い」の爆は「爆薬」や「爆弾」の爆でもあることを忘れずに!!
|
|
|
|
天津の爆発事故の翌日、遼寧省で発生した工業用タンクの爆発・炎上事故〈即時新聞より)
|
|
|