人道危機へと発展した難民問題
|
|
|
|
ハンガリーがセルビアとの国境に張り巡らした有刺鉄線を
くぐり抜ける子供の姿はあまりに痛ましい。
|
|
中近東やアフリカ諸国からの難民問題、その状況は改善されぬままヨーロッパ各国での混乱は続いており、イギリスBBC、ドイツZDF、スペインTVE、フランスF2など各国のテレビは連日トップニュースでその惨状を伝えている。
難民の避難ルートはリビア沖から船で地中海をわたりイタリアなどを目指す「地中海ルート」と、トルコからギリシャに渡りマケドニア、セルビア、ハンガリーへと進む「バルカンルート」があることは「難民が渡るバルカンルートの実体」で記した通りである。
「地中海ルート」では、密航業者になけなしの金を取られたあげく途中で遭難したり、船底に押し込められたりして多くの死者が出ているニュースが、相変わらず報道され続けている。 既にこのルートでの死者の数は悠に2000人を超してきている。
一方、「バルカンルート」も、「地中海ルート」に比べて死者の数は少ないものの、その悲惨な状況には変わりはなく、ギリシャからハンガリーまで各国の通過には長い時間が費やされ、多くの困難に遭遇するところとなっている。
やっとの思いでハンガリーの首都ブタベストまでたどり着いた難民は、オーストリア経由で避難希望先のドイツに入ろうとしたものの、難民が希望する国際列車の発着が止められてしまっている。そのためブタベスト駅には難民があふれ、駅構内はテントまでが張られて避難キャンプ場と間違えるような風景と化している。
|
|
|
|
やっとたどり着いたブタベストの駅。 ドイツ行きの国際列車は
運行がストップし、難民であふれた駅構内にはテントまで張られている
|
|
3日早朝、突然、一部の人々がホームへ入ることが許され、列車が入って来た。 ドイツに向かうものと思って乗り込んだ乗客は、ブタベストからわずか離れた駅で降ろされてしまった。 そこは難民収容キャンプのある駅。 ひとたびキャンプに入れられたら彼らのヨーロッパ入りはここで終わってしまうことを知っている難民たちは、列車から降りることを拒否。 今のなお幼子を抱えた親たちと警察官とのトラブルが続いている。
こうした悲惨な状況は言葉でお伝えするより、写真を見て頂いた方が実感してもらえるのではと思い、今回も数枚の写真を掲載した。 こうした記事を書いていると
、私自身もなんともやりきれない気持ちで筆が鈍ってしまう。 しかし、難民申請を年に20人や30人しか認めていない我が国では、難民たちが今この時間にも空腹と疲労で次々と倒れている事実を見過ごしてしまいがちである。
そうならないようにという思いで、難民たちが体験している悲惨な実体をお知らせしているわけである。 私も書きたくて書いているわけではないのだ。
その点は是非読者にも知っておいて頂きたい。 徳乃蔵に来られる読者が私の記事を読むたびに、自分たちがいかに恵まれているかを実感させられています
、と語っているのを聞くと、いくらか救われた気分になる。
これから先、世界経済が破綻し国民同士の争いが増して来たら、世界中が難民で溢れることになるに違いない。 それに巨大自然災害が加わったらどういうことになるか、
その時の壮絶で悲惨な状況が目に浮かんで来る。 そんな苦しみの世界が少しでも短くて済むよう天に祈るのみだ。
|
|
|
|
駅構内は難民でごった返し、まるで難民収容所のようだ。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
3日早朝突然乗車を許され、喜んで乗った列車は実は難民収容キャンプを目指すものであった。
|
|
|