唯一違った点は、クリントン氏と長く熾烈な争いを続けて来たバーニー・サンダース氏は、クリントン氏への支持を表明し、民主党の団結を呼びかけたことであった。 しかし、初日の大会では、サンダース氏を支持する人々からはクリントン氏への支持が語られるたびに、大きなブーイングが起きていた。 やはりクリントン氏への嫌悪感は相当大きいようである。
唯一の救いは、2日目に行われたミシェル大統領夫人の支持演説であった。 「私は奴隷たちが建てた家の中で毎日目を覚まします。そして私の美しく賢い2人の黒人の娘たちがホワイトハウスの庭で犬と戯れている姿を見ています」「これから先、娘たちはヒラリー・クリントン氏によって女性が大統領になるのが当然だと思うようになるのです」といった主旨の演説は会場内の人々に感銘を与え、サンダース氏支持者たちの目にも涙が浮かんでいた。
これでいよいよ、11月の本選挙に向かって進むことになるわけだが、明らかにされた指名争いの疑惑はわだかまりとして残ることは避けられないだけに、ヒラリー・クリントン氏もしっかり頑張らないと、初の女性大統領の誕生は夢と終わってしまいそうだ。 因みに、数日前に発表されたアンケート結果は、ドナルド・トランプ氏が3%程リードとなっている。
別のアンケートではサンダース支持者の内、クリントン氏へ投票すると答えた人の数は55%しかなく、22%がなんとトランプ氏に投票すると答えている。 TPP反対や低所得者への支援という点でトランプ氏とサンダース氏には共通点があることがその理由と思われるが、クリントン氏を嫌悪する気持ちがそうさせている面も強いようである。
最終的には、クリントン氏の当選となるのではないかと思うが、もしも、トランプ氏が勝利するようなら、彼は短い期間で政治生命を絶たれることになるかもしれない。 グローバル化を進める「闇の勢力」にとって、グローバル主義のクリントン氏に対して、米国第一主義を掲げるトランプは不都合な人物であるからだ。
いずれにしろ、米国が覇権国家から衰退していくことは避けられず、これから先、米国国民は日々それを実感することになりそうである。