ここ1年ほどアフリカ各地では干ばつが続いて作物の栽培が出来ず、家畜の飼育もままならぬ状況が続いていた。 そんなアフリカのエチオピア
一帯が、6月はじめ頃から一転して未曾有の大雨で洪水に見舞われ、1000万人を越す人々が支援が必要な状況に陥ったことは、「地球を覆う自然災害」で伝えた通りである。
8月に入って、今度はエチオピアからエジプトに向かって流れるナイル川が大雨で増水し、今世紀最大の水位に達し、溢れた水でエチオピアに隣接したスーダンが大洪水に見舞われ、100人近い死者が発生
、数千の家屋が破壊されて支援が必要となっている。
先進国の被害者も大変だが、干ばつと洪水に見舞われたエチオピアやスーダンの人々の困窮状況はその比ではない。
干ばつで作物が枯れ果てて食料に窮し、頼りの家畜を失った上に、洪水で住む家を失い、生きていくこと自体がままならぬ状況と化しているからである。
一方、そんな状況のスーダンに隣接する南スーダンでは7月末から政権争いが発生、大統領派と反大統領派との間で大規模な戦闘が再発して政治が崩壊状態に陥っている。 南部のジュバで起きた戦闘では300人以上が死亡、6万人が住む場所を追われ南のウガンダに逃れている。
その結果、スーダンから独立以降に国連の平和維持活動にPKOの一員として参加して来ていた我が国の自衛隊の隊員が、帰国する状況となったことは既にご承知の通りである。 これでは、スーダンの干ばつや洪水の被害者たちは、隣国エチオピアへも南スーダンへ逃れるどころか、近隣諸国からの支援はとても期待できない。
世界的規模で洪水の頻度がますます増して来ていることは、私のHPをご覧頂いている方はご承知の通りである。 ただその頻度がどれほどの勢いで増して来ているのか、その詳細が分からずにいたが、ブログ「In
Deep」に1950年から2000年までの世界5大地域の洪水発生件数が掲載されたので見てみると、この半世紀、オセアニアを除く南北アメリカ、アジア、ヨーロッパ、アフリカの全てのエリアで劇的に増加していることが分かった。(上の図参照)
その数値は、アメリカで25倍、アジアで6倍、ヨーロッパで5倍、アフリカで20倍となっている。 2000年以降の統計数値は見当たらないが、ここ5〜6年、マスコミで伝えられる洪水件数が急激に増えていることを考えると、件数増加の曲線が放物線状になっていることは間違いない。
それにしてもアメリカの25倍という数値はアジアやヨーロッパに比べると大変な大きさで、 近年のアメリカを襲っている自然災害がその傾向に沿ったものであることが分かる。
こうして世界中で次々と洪水や干ばつの頻度が増す一方、その規模も放物線状に巨大化してきている。 中でも自然災害大国と化したアメリカを襲っている洪水は、劇的にその度合いを増して来ているようである。
この8月に入って発生した北東部のメリーランド州と南部のルイジアナ州の洪水は一段とその規模が大きくなっており、報道の見出しが従来の「未曾有の災害」「記録的な災害」「100年に一度」などから、とうとう「1000年に一度」(1−in−1000year)へと転換する事態となっている。
[USA
TODAY」は8月1日に、「メリーランド州に1000年に一度の洪水をもたらした雨」、また、「THE
WATCHERS」は、8月13日にルイジアナを襲った洪水を、「幾つかの州では1000年に一度の降雨量を記録」と言った見出しで伝えている。
以下に、メリーランド州とルイジアナ州の洪水被害の甚大を伝える写真を掲載したので、1000年に一度の状況をご自身の目で確かめて頂きたい。
なおルイジアナ州では6人が死亡、2万人以上が非難を余儀なくされており、ホワイトハウスは州内の4群を、大規模災害地域に指定している。
我が国のマスコミはテレビも新聞も朝から夜中まで、オリンピック、オリンピックで何も伝えていない。 BSテレビなど海外のニュース番組まで放映されていない。
メリーランド州の被害状況