「台風が示す異常気象」「気候変動のサインを見逃すな」でお伝えしたように、小笠原諸島の南の海上という異例な発生場所や南に向かった進路、さらにはUターンして戻るなど異例ずくめの台風10号。 最後の異例となったのは、統計を取り始めた1951年以来初めてとなる東北地方への上陸だ。 心配していた通り10号は上陸した岩手県だけでなく、遠く離れた北海道の十勝地方にも記録的な大雨をもたらし、大きな被害を発生させるところとなった。
岩手県にしろ北海道にしろ、台風の上陸や300〜500ミリという大雨など経験がない地域だっただけに、住民の驚きは大きかったようである。 帯広講演会のスタッフの一人は、北海道に住む自分が台風で避難することになるなど予想だにしなかった、とたいそう驚いておられた。
濁流と流木で高齢者など11人の命を奪った台風は、北海道では死者の数こそ少ないが、札幌と釧路を結ぶ鉄道や道南を中心に6路線が中断された国道など、交通網の被害が甚大となっている。 どうやらしばらくの間、十勝地方は陸の孤島と化すことになりそうである。
心配なのは農作物の被害である。 私の知り合いの方は幸いにも小規模被害で済んだようであるが、タマネギやジャガイモなどが壊滅状態となっている地区もあり、来年の種が用意できないのではないかと心配が広がっているようである。 鹿児島や熊本など九州の被害に加えて、大生産地である北海道の被害は、消費者にとっても痛手となることだろう。
ハワイを襲う異例のハリケーン
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熱帯低気圧の異例な発生状況は日本だけではないようだ。 ハワイ島に向かっている熱帯低気圧にもかってない異変が起きている。 何が異例かというと、二つの熱帯低気圧が連なるように前後してハワイに向かっていることと、二つともが大型のハリケーンに発達していることだ。 このような事は過去に事例がないようで、日本の気象庁も驚いている。 それにしても、二つのハリケーンが小さなハワイ諸島を直撃するのには何か意味がありそうだ。
一つのハリケーン「マデリーン」は日本時間の今夜上陸、次の「レスター」は日曜日に上陸が予想されている。 大型台風並みのハリケーンに続けて襲われては大変だ。 ハワイでは6月にマウナケア山で雪が降ったり、複数の火山の活動が活発になって来ているいようなので、これから先、自然災害や天変地異の発生が心配である。
こうした異例な熱帯低気圧の発生は太平洋だけではないようだ。 大西洋岸のメキシコ湾でも3つの熱帯低気圧が発生し、ハリケーンとなって米国南東部沿岸に向かっており、フロリダを中心に洪水や高波が心配されている。 明日以降、その被害状況がABCニュースのトップを飾ることになりそうだ。
まさに地球全体の気象が完全に異常化してきているだけに、過去に事例がないから安心だという考え方は、この際きっぱりと捨てた方がよさそうだ。 地震については心配ないと思っていた熊本が二つの地震に襲われ、台風の上陸など他人事と思っていた東方地方や北海道が大型台風に見舞われ甚大な被害が発生している。 「明日は我が身」と考えて、物心両面の準備だけは怠らないことだ。 |