今月はじめ頃から沖縄県の尖閣諸島周辺で230隻を越す大量の中国漁船が航行するのに合わせて、中国海警局所属の公船7隻が接続水域に入るといった異例の状況が続いている。
そんな最中、尖閣諸島沖合の公海で漁をする中国漁船とギリシャ船籍の貨物船が衝突する事態が発生した。
遭難信号を受信した海上保安庁の巡視船が魚釣島の北西67キロ付近で、海に投げ出されていた中国漁船の6人を救助。 残りの8人は行方不明となっており、巡視船と航空機が捜索を続けている。 事故当時、操業中の漁船の周辺には公船もいたようだが、まったく救助活動をしていなかったようで、尖閣諸島の接続水域の外に出ることに精一杯だったようである。
この件で驚いたのは、中国外務省の華春瑩副報道局長は11日、談話を発表し、「関係部門が協力的な姿勢で、適切に処理することを希望する」と表明しているが、その際に、「6人の船員が救出された」とする談話を発表したものの、日本の海上保安庁の巡視船によって救助されたことには一切触れていない。
中国メディアは日本の報道を引用する形で、6人が海保に救助されたと伝えているようなので、国民の一部はその事実を知っていることだろうが、なんともはや中国という国、その国を支配する中国共産党という政権の社会常識の欠如ぶりにはあきれて物が言えない。
中国では今、重要会議のために河北省の避暑地で指導部のメンバーや党の長老が集まり、来年の党大会に向けた政治的駆け引きを本格化している最中である。今月はじめから230隻を越す大量の漁船や公船を投入しているのは、国内の不満を外に向け結束力を高める狙いがあることは明らかである。
それだけに、今回の我が国の海上保安庁による遭難漁民の救助はなんとも痛し痒しで、どう対処していいのか困惑しているようである。
こんな国が世界の覇権国家になろうとしているようでは、世も終わりだ。