今度は国連の支援車両を爆撃
先日、米軍によるシリア政府軍への誤爆により、多くの死傷者が出たことを「気になる二つの出来事」でお伝えしたが、今度は
シリアの停戦期間を利用し、アレッポ市内に小麦や医薬品、毛布やオムツといった日用品を届けようとしていた国連などのトラックが空爆され、トラック31台の内、18台が炎上し支援団体の責任者や運転手など12人以上が死亡
する事態が発生。
問題は誰が攻撃したかである。 米国政府と国連は、アサド政府軍かロシア軍による攻撃であると主張。 一方、政府軍は反政府軍の誤爆によるものと反発
。 また、ロシア政府は輸送トラックの横をゆっくり走る不審な小型車両の航空写真を元に、この車両に大型の迫撃砲が積まれていた可能性が高いとして、空爆ではなく地上からの爆撃で攻撃された可能性が大きいとしている。
確かなことは分からないが、救援物資運送のマークがつけられた車両を狙っていることを考えれば、国連や米国政府が主張するように、シリア政府軍による攻撃と考えるのが常識的な見方である。 いずれにしろ、待ちに待った支援物資が届かず
、これから先も地獄の苦しみを味わうのは、アレッポ東部の市民たちである。
シリア政府軍は19日を持って停戦期間は終了したと宣言しており、反政府軍もいずれ反撃に出るであろうから、事実上、停戦は終了し戦闘状態に戻ったと見てよいのではなかろうか。 どうやら再び政府軍
や反政府軍、さらにはIS(イスラム国)、シリア征服戦線(旧ヌスラ戦線)などのテロ組織が入り乱れての内戦
が再開されそうである。
米・国務省のカービー報道官は「今回のトラック爆撃は目に余る停戦違反で、今後のロシアとの協力を見直すことになるだろう」と述べているだけに、これから先シリア情勢だけでなく、ウクライナ紛争やクリミア併合などにおいて、「欧米対ロシア」の関係悪化が進み、
世界情勢は一段と厳しくなって来そうである。