我が国のマスコミではあまり取り上げていないが、中国では3月以降、降水量が異常に多い状況が続いており、既に発生した暴風雨の数は20回を越しており、頻度・降水量とも観測史上最大となっている。 そのため、長江流域各地では大規模な洪水が発生し、約4900万人以上の住民が被災しており、中国長江洪水対策総指揮部は7月11日の記者会見で、死者と行方不明者の数が222人に達していることを発表している。
日本の九州各地も連日のように大雨に見舞われているが、中国の大雨も同じ低気圧の影響によるもので、さらに追い打ちをかけたのが台風1号(ニパルタック)。 台風は台湾に甚大な被害を与えた後、中国に上陸して風速は弱まったものの、大量の雨ももたらし長江の中・下流域では、安徽省・宣城市や湖北省・武漢市、江蘇省・南京市など多くの都市で1998年以来の大規模な洪水が発生している。
1998年以来と記したが、その
1998年には、長江の大氾濫で2億人以上が被災し、4000人を超す死者が出ている。 さらに歴史をさかのぼると、1931年には未曾有の洪水で何十万人とも、何百万人とも言われる死者が出ている。 降り続いている雨はこれから先も当分の間続きそうなので、歴史的な2大水害に続く大規模災害となるかもしれない。
以下に掲載した災害状況の写真を見れば、長江の中・下流の地域が、どれほど広域にわたり大規模な被害に遭遇しているかお分かりになるはずだ。 災害のエリアは私が知るだけでも、江蘇省、安徽省、江西省、河南省、湖北省、湖南省、広西省、重慶(直轄)市、四川省、貴州省、雲南省の11省に広がっており、その面積は日本国土の何倍にも達している。
大紀元ニュースが伝えるところでは、一連の水害による倒壊家屋は約4万1000軒で、さらに24万8000軒が何らかの被害を受けており、29万5200ヘクタールの農地が水没し、今期の収穫は絶望的状況となっているようだ。 それによる直接的な経済損失だけでも381億6000万元(約6000億円)に達すると見られており、7800億円を超えるだろうという情報もある。
これだけ被害規模が拡大している要因は、各省に散在する湖や貯水湖を工場や住宅、道路の建設ために次々と埋め立てている為のようである。 「百湖の街」と呼ばれていた武漢市では90もの湖が埋め立てられ、38湖しか残っていない。 中国のやることはどうも理解できないことが多過ぎるようだ。
いずれにしろ、中国の自然災害もまた米国と同様、尋常ではなくなって来ているようである。 習近平政権は、南シナ海で違法な島の建造に取り組むより先に、国土の安全を期する方が先ではなかろうか。