バングラデシュの首都ダッカで1日夜(現地時間)に発生した人質殺人事件は、死亡者の中に7人の日本人が含まれていたことから、我が国のマスコミでも大きく取り上げられたので、読者も既にご承知のことと思う。 昨年10月3日に同じバングラデシュの北西部で発生した事件では、日本人1人が死亡している。 読者の記憶に残っているだろうか。
今回の事件はイスラム教徒にとって最大の祝日であるラマダンの最後の金曜日、賑わう飲食店で発生。 押し入った7人の武装グループは客や店員を人質にして立てこもり、22人を殺害するという残虐なテロ事件となった。 どうやらこの事件もまたIS(イスラム国)に影響を受けた若者たちが中心となって行った犯行のようである。 ISはラマダン期間中における犯行を呼びかけていたことから、それに同調した犯行と思われる。
今回の事件では他の事件ではあまり見られない3つの特徴があった。
@ 犯行現場が比較的治安のよい地区であったこと。
A 裕福な家庭に育った、名門校出身の若者が犯行に加わっていたこと。
B イスラム教徒以外の外国人を狙った無差別テロであったこと。
犯人たちは人質に対して、イスラム教の聖典「コーラン」の一節を暗唱させ、出来た者には食事を与え、出来なかった者は殺害している。 これはイスラム教徒でない人間やイスラム世界を破壊しようとしている人々を殺害しようとしたことを示している。 こうなったら、もはやどこの国でどんな残虐なテロが起きるか予測は不可能だ。
今回、不幸にも被害に遭われた日本人は、国際協力機構(JICA)によるダッカの交通インフラ事業に携わっておられた方たちであったようだが、これから先、観光気分で出掛ける海外旅行は出来るだけおやめになられた方がよさそうである。
昨年の10月以降だけでも、世界各地でIS(イスラム国)による自爆テロや銃乱射事件などが次々と発生しており、その主な事件だけでも以下の通り、既に7件を超えている。
@ 10月3日 バングラデシュ ロングプール 銃乱射 死者1人(日本人)
A 11月13日 フランス パリコンサートホール同時多発テロ 死者130人
B 1月14日:インドネシア・ジャカルタ カフェの爆破テロ:死者4人
C 3月22日:ベルギー・ブリュッセル 空港と地下鉄の連続テロ:死者32人
D 4月9日 :フィリピン・バシラン島:死者23人
E 6月12日:米国・フロリダ ナイトクラブで銃乱射:49人死亡
F 6月28日:トルコ・イスタンブール 空港で自爆テロ:死者44人
この他ISによる事件以外のテロや銃乱射事件などを含めたら、その件数は大変な数に達している。
イラクの首都ダッカで爆弾テロ