内戦が続くシリアで、破壊された建物から救出された5歳の子どもの映像がインターネット上に投稿され、その姿は、幼い子供を含む多くの命が奪われているシリアの内戦の悲惨さを表しているとして、中東や欧米のメディアが相次いで大きく取り上げ、世界に反響が広がっている。
男の子はオムラン・ダクニシュ君(5才)で、救出されたあと抱きかかえられて、救急車の中に運び込まれた。 動画には顔中が血とホコリにまみれた小さな少年が、静かに腰かけ、ただぼう然とまっすぐに前を見つめている姿と、顔を触った手に血がついてるのを見て驚く様子が写されている。
動画は17日、市内の反体制派が支配する地域で撮影されたものなので、政府軍なりロシア軍の空爆によるものと思われる。 去年9月、ヨーロッパに渡ろうとした難民のボートが沈没し、トルコの浜辺に遺体となって流れ着いたシリア人の男の子の写真や映像が大きく報じられ、難民問題の深刻さを国際社会が広く認識するきっかけとなったことは、読者も覚えておられるだろう。
スーダン人の画家が「シリアの子どもの選択肢」と題し、「シリアに残った場合」としてオムラン君を、「逃れた場合」としてトルコの浜辺で遺体で見つかった、3歳のシリア難民の男の子を描いたイラストを投稿し、子どもたちが置かれた極限の状況を示すものとして、インターネット上で拡散している。 まさに残るも地獄なら、去るも地獄の2枚の写真である。
アレッポは反体制派と政府が支配する地域に分かれており、激戦地となっている。 2週間前に反政府軍に奪われたアレッポ南西の地域を奪還すべく、政府軍が連日のように激しく空爆していることから、少年は政府軍の空爆で被害に遭ったものと思われる。
シリアの人権団体によると、2011年以降この5年間で、シリアで戦闘などの犠牲になった子どもたちは1万4000人余りに達している。 国際的なNGO、セーブ・ザ・チルドレンは、オムラン君の映像が出たあと声明を発表し、「シリアでは特にここ数週間で多くの子どもたちが爆撃で死亡し、けがをした子どもたちへの手当てもされていない。 直ちに爆撃をやめるべきだ」と訴えている。
米国・カリフォルニア州の原野火災