最近のニュースの中で、フィリピンのトップに就任したばかりのドゥテルテ大統領の言動が世界の注目を浴びている。
ドゥテルテ大統領の発言や行動が少々常識を外れたものであることは、フィリピンでは氏のことを「フィリピンのトランプ」と呼ばれていることをみれは、お分かり頂けることだろう。 その彼が先日、米国のオバマ大統領に対してとんでもない発言をしたことが話題になっている。
麻薬取引の取り締まりを選挙公約に掲げてきたドゥテルテ大統領は、就任早々から公約の実行に取りかかっている。 その結果、麻薬取引に関わったとされる容疑者が警察官によって射殺されるケースが次々と発生し、すでにその数は1000人を超えている。 彼らの多くは裁判にかけられる前に捜索現場で殺されているのだ。
先日、こうした人権を無視した行為に懸念を表したオバマ大統領に対して、ドゥテルテ大統領は次のような常軌を逸した発言を行っているのだ。
我々は独立国家となって久しい。私は誰にもひざまずかない。 私は米国が凄い国だとは思わない。 蹴飛ばしてやってもいいくらいだ。 オバマは何様のつもりでいるのか! さらに、オバマ大統領個人に対して「売春婦の息子」という意味に取れる悪しき言葉を、先住民のタラル語を使って述べている。
なんともはや驚きである。 とても1国のトップが公の席で発言する内容ではない。 選挙戦の最中の言動からして常識的な人物でないことは感づいていたが、これほど常軌を逸する発言をする人物とは思わなかっただけに、驚きである。
フィリピンと言えば、中国の南シナ海への不法な進出に対して一番強く抵抗を示している国である。 国際法廷に提訴し、中国を批判する判決を勝ち取ったばかりである。 中国政府に対する発言ならうなずけるが、中国批判を後ろから支えてきた米国の大統領に向かって言うべき言葉ではない。
これから先、当然中国とは南シナ海問題を巡って厳しく対峙することになるだけに、支援大国アメリカを敵に回すような発言をしているようでは、先行きがなんとも不安である。 これも覇権国・米国が衰退に向かっていることを示す一つの兆候かもしれないが、中国を利するような言動だけは慎んでもらいたいものである。 いずれにしろ、世の中ますます混沌として来た感じである。