地獄の釜の蓋が開いた日
アメリカで4番目に大きな投資銀行(証券会社)であるリーマンブラザーズ破綻のニュースが世界を震撼させた。私が先に「正念場を迎えたアメリカ経済
A」で述べておいたアメリカの金融危機が、早くも現実のものとなってしま
い、メリル・リンチは吸収合併され、リーマン・ブラザーズは倒産。とうとう世界恐慌へ向けた第1の鐘が鳴らされてしまった。
今週末、ニューヨークの連銀ビルでは、ゴールドマンサックス出身のポールソン財務長官の要請を受けて、アメリカの主要な金融機関の経営者たちが集まって、土日をかけてリーマン救済案について協議していた。ここで協議された救済案の一つが、大手の商業銀行(一般の銀行)であるバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)と、イギリスの大手銀行バークレイズが、リーマンを買収するという案であった。
バンカメとバークレイズは、自分たち自身が金融危機で弱体化していることもあって、アメリカ当局が支援融資をしてくれない限り、不良債権を抱えるリーマンを買収できないと主張し、米当局に公金注入を求めたようである。しかしポールソンは、公金注入は金融の自己責任原則を崩し「モラルハザード(倫理崩壊)」につながるとして断固拒否してしまった。その結果、バンカメとバークレイズは14日(日)の午後、相次いで買収交渉から離脱するところとなった。
実は、土日のNY連銀ビルでは、バンカメとバークレイズによる買収交渉と並行して、別の救済案も検討されていた。それは、リーマンから不良債権だけ分離し、残った良い部門をバンカメかバークレイズが買収し、不良債権はアメリカ金融界の大手10−15社が資金を出し合って損切り処分(償却)するという救済案であった。
アメリカ金融当局が救済資金を出さない以上、同じ金融機関の仲間が資金を出資し合って救済するしか方法がないのではないかということになったのだ。このまま、リーマンが救済されずに破綻すると、CDS(債券倒産保険)などデリバティブ市場の崩壊、米不動産相場の下落加速など、金融界全体にとって致命的な影響が予測されたからである。
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呆然とボードを見つめるトレーダー
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しかし、リーマンが現時点で抱えている負債額だけでなく、これから発生していくることが予想されるデリバティブ証券の損失額が明確に示されなかったために、参加した金融機関の経営者たちは、後で自分たちが判断
ミスの責任を問われることを恐れて、結局、話はまとまらなかったというわけである。
こうした経緯で、とうとう経済崩壊という地獄の釜の蓋が開いてしまったわけであるが、その合図を知らせる第1の鐘の音に続いて、次の鐘がアメリカナンバーワンの保険会社
「AIG」
によって鳴らされようとしている。この記事を書いている今も、ニューヨークの連銀ビルの一室で、暑い論議が交わされているはずである。猶予期間は2〜3日しかないからである。
恐らく、救済策は打ち出されることなく、第2の鐘が鳴らされることになるのではないだろうか。それを裏付けるように、15日の株式市場でAIGの株価は60%も下落
、更に16日にも20%下落して3ドル台になってしまった。この株価はリーマンが倒産直前の株価である。もしも、救済不成功となればダウの1万ドル割れとドルの100円割れは必至である。
AIGは早くから日本に進出して来ていた保険会社で、AIU、アリコ、AIGスター生命、AIGホームダイレクトなどで日本の人々にも馴染みの生・損保会社である。それだけに、倒産と
もなれば日本の契約者の受ける損出も甚大なものとなるに違いない。
(17日早朝、AIG救済の情報が流れたがどこまで確かか分からない。今日、明日のニュースに注意したい)
この先に待ち受けている不気味なもの
私が今回の倒産劇で合点がいかなかった点は、3月に経営危機に陥ったベアー・スターンズがJPモルガンチェースによって救済買収された際には、アメリカ金融当局はJPモルガンに300億ドル(3兆3000億円)の救済融資をしているのに、今回のリーマンの救済合併を計画していたバンクオブ・アメリカに対して
は、融資を実行しようとしなかったことである。(この融資は事実上の政府の債務保証に当たる)
ベアー・スターンズの救済の際に、アメリカ政府が救済融資した理由は、ベアスタは巨額のCDS(債券倒産保険)を抱え、そのまま倒産すると62兆ドルのCDS市場がシステム的に全崩壊しかねないからというものであった。それなら、今回もまったく同様であるはずである。リーマンは、ベアスタよりも巨額のCDSを抱えていることを考えれば、むしろリーマンこそ救済しなければならないはずである。
それに、リーマンは、ゴールドマンサックス、ロックフェラー、ロスチャイルドなどと同様、1910年代にニューヨーク連銀を設立した、いわゆるユダヤ系金融機関の重鎮である。一方、ベアスタは5大証券会社の一翼を担っているとはいえ、ユダヤ系が牛耳っているアメリカ金融業界では新参者に過ぎない。
それだけに、今春、リーマン破綻説が流れ始めたとき「ベアスタは新参者だから、買収されて消えてしまったが、リーマンは連銀所有者だから、潰されず救済される
に違いない」との見方が、伝統的な陰謀論者たちの中に強かったのだ。
ところが、結果はそれとはまったく逆であった。ベアスタは買収されて存続したのに、リーマンは破綻してしまったのだ。もしかしたら、ここに来てユダヤ系資本家も一枚岩でなくなり、仲間割れが起きているのかも知れない。それとも、我々の知らぬもっと奥の世界で、
今回の破綻劇を利用したおぞましい陰謀が蠢(うごめ)いているのだろうか。
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14日の夜、私物をもって会社を出るリーマンの社員 |
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そうした中、9月17日と10月7日に大きな異変が発生するという情報が寄せられてきた。9月17日の異変を預言しているのは、日本人の60歳代の人間である。情報を知らせてくれた友人によると、その男は、17日に「鳥肌が立つようなこと」が起きると一言だけ伝えてきているようである。
発生の場所も、何が起きるのかも一切言及していないようなので、雲をつかむような話であるが、「鳥肌が立つようなこと」という表現を聞くと、経済危機や天変地異というよりは、何らかの謀略的事件ではないかと思われる。ジュセリーノ氏の「9月にエンパイアステートビルでテロが起きる」という預言が、ふと私の脳裏を横切った。
今回のリーマンの倒産劇の裏に何か深い陰謀が隠されているとしたら、その後を追いかけるようにテロと見せかけた衝撃的な破壊劇が計画されている可能性は無きにしもあらずである。私の思い過ごし
であってくれればよいのだが。、
他方、10月7日の異変は、アメリカのWeb・Bot(ウエブ・ボット)が伝える情報である。それは、アメリカ人が長い間心に描き続けてきたく
「経済的破壊の想念」、「戦争に対する想念」、「災害に対する想念」の集積化によって発生する異変であるという。異変は朝の7時10分に発生し、それによってアメリカは地獄に堕ちることになるのだという。
この種の情報は経済の動向と違って、論じるに足る確たる根拠があるわけではない。
それに今回の2つの情報については、今のところ、比嘉良丸氏から裏付けとなる話が聞かされていないので、杞憂に終わる可能性が大きいことを承知しておいて欲しい。しかし、9月から10月にかけて経済にしろ天変地異にしろテロにしろ、何か不吉なことが起きるような予感が感じられてならない昨今である。
多くの人々は、今回のリーマンの倒産劇を「アメリカの金融危機」という表層面だけから心配しているようだが、もしも、その裏に何か秘められた秘密があるとしたら、それから目を離さないようにすることも大事である。
いずれにしろ、これから数ヶ月のうちに、様々なことが白日の下にさらされて来るに違いない。株価や経済指標の裏に隠された真相をしっかりと見極めていきたいものである。
追記 : 新しい情報では9月17日は、「種がまかれた日」であるということであった。断定は出来ないが、どうやら「鳥肌が立つ」というのは、人型鳥インフルエンザの蔓延した状況を伝えているようである。種がどこで撒かれたかの詳細は分からないが、それはいつ表に出てくることになるのだろうか?
心配したエンパイアステートビルのテロでなかったことは幸いだが、鳥インフルエンザの蔓延の方が更に恐ろしい事になりそうだ。私は感染症による被害の拡大は2010年以降になると考えているが、その前哨戦となる小規模な鳥インフルエンザの発生が来年に発生しても決しておかしくない。
一段と迫ってきた韓国のデフォルト宣言
今回のリーマン倒産劇で、日本円に対してドルが3円以上暴落している中、韓国ウォンは対ドルで一段と下落してきている。9月16日のソウル外国為替市場でウォン終値は1ドル=1160.00ウォンと、前週末に比べ50.90ウォンのウォン安ドル高となった。ウォン下落幅はこの10年で最大で、終値は4年8カ月ぶりに最安値を更新したことになる。
その結果、米ドルが対円では値を下げているため、日本円と韓国ウォンの相場が100円=1118ウォンと、とんでもない数値になってしまった。昨年のピークは100円=745ウォンだったので、何とウォンは、対円で1年間に50%も下落したことになる。
分かりやすく書くと、昨年7月に1000ウォンで買えた日本商品が、今は1500ウォン出さなければ購入できないということになる。こんな状態を見る限り、「隣国・韓国の窮状」で書いたデフォルトが、いつ起きてもおかしくない
ことがわかる。いよいよ世界は混沌としてきたようである。
次回は、迫りつつある中国の一大危機について書くことにする。
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