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銀行への資金投入は爆弾を抱えることになる
 

 

     G7
     


週末の2日間にG7から始まって、G20、IMF総会と、金融危機に対する国際的な金融会議が立て続けに開催され、その後、多くの国々が、銀行預金の全額保証や銀行への資金投入などを矢継ぎ早に 打ち出した。

その結果、週明けの世界の市場は先週末とはうってかわって、株価は暴騰、ドルも上昇してまるで世界の景気が一変したかの如く楽観論が支配的となってきており、今日も一日、各国の市場は高騰を続けているようである。

G7の合意に基づく「行動計画」の中で最も驚かされたのが、ドイツの公的資金70兆円の銀行への投入である。昨日発表されたアメリカ 政府のバンク・オブ・アメリカなど9行に対する資本増強額が2500億ドル(約26兆円)であることを考えると、 ドイツの民間銀行への投入額がいかに膨大な額であるかがわかる。

その結果、イギリスの8兆円を加えて、ヨーロッパ全体では100兆円を超える膨大な資金が銀行に投入されたことになる。この他、オーストラリアやカタールなども相次いで資金投入を発表している。

これだけの物凄いお金が政府から銀行へ投入されれば、どこの国の銀行もとりあえずは一息つくことになるであろうが、 こうした政府の資金投入には幾つかの問題が内包されている。

第1点は、資金を投入する国の財政悪化への懸念である。 一例を挙げれれば、ドイツは毎年5兆円から6兆円という対GDP比2・5%前後もの財政赤字を続けている国である。そのドイツが国家予算3000億ユーロ(約42兆円)の2倍近い資金を民間銀行に投入するというのだから、これは尋常なことではない。

それでは、一体その資金はどこから出すのかというと、当然国債の発行である。国債の発行と言うことは国家 が国民なり外国の投資家から借金することに他ならないわけであるから、財政状況 が悪化することは避けられない。当然国民は税金によってまかなうことになる。

第2の問題点は、この膨大な資金投入は決して景気対策 として使われるというわけではなく、民間銀行の穴があいた資本を補充するものに過ぎないという点である。

それゆえ、ヨーロッパ諸国の100兆円やアメリカの26兆円の資金が投入されたとしても、ヨーロッパやアメリカで起きているバブル崩壊後の住宅や土地の価格が早急に回復したり、個人消費が盛り上がっていくことを期待するのは無理である。

それは、1998年に日本が銀行への公的資金の投入に踏み切ってから 既に10年以上が経過しているのに、未だに本格的な景気上昇に至っていないことを考えれば明白である。

むしろ、各国とも金融危機の実体経済への影響はこれからが本番である。産業界が業績悪化に陥り、雇用悪化が進み、個人消費の落ち込みが一段と顕著になってくるのは、これからなのである。

 

   G20

 

私が最も心配している第3点は、今回の政府による金融界への資金投入という非常手段は、一国だけで行われたのではないという点である。

日本の資金投入時においては、我が国一国だけが対処し、難関を乗り切ればそれで済んだ問題であった。幸いにも、日本人のねばり強さと勤勉さで、国民は苦難を乗り越え、どうにか 経済も立て直し、投資した資金の90%までは返済されるまでに至ったわけである。

それゆえ、その間、世界経済は日本の景気後退を横目で眺めながら、順調に発展していくことが出来たわけである。しかし、今回は状況がまるで違うのだ。民間銀行に国民の多額の税金を注入するという、一か八かの大勝負にアメリカやヨーロッパ各国がみなそろって挑戦することになるからである。

その結果、もしも、いずれかの国に置いて、資金投入が功を奏することなく破綻する銀行が出てきたり、さらなる資金投入が必要な事態に陥ったとしたら、経済のグローバル化が進んでいるだけに、その影響は一瞬にして世界中に連鎖することになる。

ということは、一国たりとも失敗が許されないことになり、今回の世界各国の行動計画は、98年の日本単独の資金投資に比べて、はるかに危険度が大きい賭であることことが分かる。こうしたことを冷静に考えれば、世界的に株価が一気に上昇に転じ、これから先 、上昇相場が継続されるなどと言うことが、あり得ないのが分かるはずである。

それどころか、株価が2ドル台に落ち込んでいるGM や危機説が噂されているシティー・バンクの決算内容、それに消費者指数、失業率、住宅着工件数などが発表され、市場の関心が金融危機から市場経済の実態に注目が移ったときには、さらなる大幅下落が起きる可能性がある。
 

丁半博打の場と化した金融市場

それにしても、10%とか14%といった暴騰・暴落の相場展開を見ていると、気が滅入り、心がすさんでくる。私のように株券など一切持たず、高みの見物をしている人間でもそうだから、資産の大半を株式投資している人々の心境はいかばかりかと、他人事ながら案じられてくる。

暴落相場では不安がつのり、心が乱れるに違いないが、暴騰局面でもこの流れがいつまで続くのか? 今度暴落したらどうしようかと、心が安まることがないに違いない。

会社のマネーとはいえ、1兆円を超す資金を株式や債券に投資していた資金運用部の責任ある立場にいた私には,痛いほどその気持ちが分かる。

困ったことに、こうした不安心理や心の乱れは、これからのアセンション(次元上昇)に向かう上で、もっとも避けなければならないことである。それだけに、今株式や危険度の高い高利回り投信や外貨建て預金などに投資している方は、出来るだけ早く身を引くことである。

1日に10%を超す乱高下が続く相場は、もはや株式投資というより、丁半博打(ちょうはんばくち)の世界でる。 3000万円投資していた人は10日の金曜日には一日で300万円損をし、14日の週明けには、400万円の利益を得たことになる。

こうした賭博相場の中でも、大もうけをする人もいるかもしれないが、そんな人はわずかで、あとはみな負け組に入ることになるのが相場の世界である。たとえ、大量の金子(きんす)を手にしたとしても、その間に失う精神的財産は計り知れないことを忘れてはならない。 穏やかな心を取り戻そうとしたら、一刻も早くこの世界から離れることである。

 

 

 

    IMFC

 

デフォルト目前にした中小国家の危機


ワシントンポストは、今回の緊急対策で先進国が何とか一息ついている中で、アイスランドをはじめとした中小規模の国家が通貨急落・銀行危機の脅威に直面していると警鐘をならしてい る。

現在、金融危機が噂されている国は、アイスランド・韓国・スイス・パキスタン、ハンガリー、ウクライナなどが噂されており、世界中では10を超えるのではないかとも言われて いる。

これらの国は、民間銀行への緊急援助どころか、今国家そのものが財政や通貨急落、ドル不足で危機的状況に陥っている。しかし、先進国は今自国の金融市場 の安定を優先するあまり、これらの国の困窮状態に構っていられない状況にある。 その間に危機的状況は日増しに大きくなっていく。

このままの状況が続くようなら、これらの国々は遅かれ早かれデフォルトを宣言し、IMFの管理下におかれることになるに違いない。アイスランドでは、既に主要銀行を国有化し市場閉鎖に踏み切っている。その結果、高利回りを期待して預金していた隣国イギリス国民の預金が封鎖され引き出せない事態が発生している。

慌てたイギリス政府はアイスランド政府に掛け合ったが、らちがあかず、結局、民間人の預金はイギリス政府が保証する措置に踏み切ることとなった。ところが、調べてみると、アイルランドの銀行には個人預金だけでなく、民間や公的機関の共済年金も大量に預金されていることがわかり、慌てたイギリス政府はテロ特別法 というとんでもない法律を適用して、アイスランド人の預金を凍結する対抗手段に出た。

その結果、アイスランド政府は、イギリスは自分たちをテロの犯罪者と同一視するのかと怒り、今両国の関係は最悪の状態に陥ってしまっている。このままだと、いつ紛争が起きてもおかしくない状況である。

ウクライナ政府は今週、Prominvesbankを国有化し、債権者への支払を止めてしまった。また、今年に入って73%も値下がりしたキエフ株式市場を閉鎖した。ハンガリーも昨日は、同国最大の銀行OTPへの取り付け騒ぎが起きて、ブダペスト株式市場は13%も値下がりし、財務省は国債入札のキャンセルを余儀なくされている。

パキスタンでは、ルピーが市場最安値を更新中で、格付け会社 S&Pは、パキスタン国債を完全不良債権直前のレベルである「CCC+」へ格下げした。 また、同国中央銀行の外貨準備は、たった$47億になってしまっており、デフォルトは時間の問題となってきている。

一方、韓国政府は既にお知らせしているように、極度のドル不足に陥っており、李明博(イ・ミョンバク)大統領が最悪のシナリオから韓国を保護するため、政府機関に危機管理計画を準備するよう要請したニュースは「四つの窓」Dでお伝えした通りである。

最近の情報によると、韓国政府は国民に対して、所有するドルを自発的に国に提供するよう呼びかけ始めたようである。戦時中、我が国において鉄や銅ななどの金属類を国に放出する要請が出されたのと同じ状況であることを考えると、いかに、隣国が危機的状況におかれているかが、分かろうというものである。

このように、アイスランドをはじめとする各国は、デフォルト直前の厳しい状況に追い込まれて おり、あとは、こうした国々の窮状が、世界の主要国の経済環境が回復するまで持つかどうかの一点に絞られたようである。

IMFの管理に入った場合、国の政策に厳しい条件が付けられ、国民の暮らしが困窮に追い込まれることはご存じだと思うが、それより問題なのが、IMFは デフォルト宣言を出した国を管理下に置く条件として、貸し手の金融機関の借金の棒引き等を求めることである。そのため、デフォルトの噂が立つと、個人預金者だけでなく外国の銀行が資金の引き上げに走ることになる。

それゆえ、噂に上がっている国々が通貨安やドル不足などで、これ以上厳しい状況に追い込まれた場合は、世界金融市場に大激震が走ることになるのは必定である。先進国の資金投入などのニュースだけに気をとられていると、足下をすくわれることになる。用心が肝要である。

最後に、マシュー君が送ってきている経済の崩壊に関するメッセージを掲載しておくので、読んでおいて頂きたい。この一文を読む限り、今起きている金融異変は現在の市場原理を一変させ、新たな経済基盤を確立するための準備であるようだ。

  最終的な結末は、金融、商業、投資システムの腐敗者たちを除いて、世界中のあらゆるひとびとが心から喜ぶものになるでしょう。しかし、影響を受けるすべての国々では多くのひとびとに困難が降り掛かることは否定できません。

特に、世界経済の崩壊が、公正、誠実、保全に基づく新しい経済基盤に移行するためのものであることを知らない人には、恐怖でしょう。いま起きている狂乱は世界変革への移行段階であることを知っているあなたたちにお願いします。どうかその怖れを増すようなことはしないでください。


 

 

 

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