中国経済の崩壊 前回、中国での騒乱や暴動発生の発端となるのが、以下の4点であることを述べた。
@ 格差社会への不満
A 天災や異常気象
B 景気の落ち込みとインフレによる食糧・生活用品の高騰
C 株式崩壊による政府不信
今回は、先ずインフレ発生の懸念について述べることにする。
インフレ懸念
低所得者にとって一番恐ろしいのはインフレである。それもインフレ率が高くなればなるほど生活苦が激化し、生きていく事自体が難しくなってくる。中国でも主食は米であるが、今年の夏、タイやインドと一緒に米の価格の高騰が社会問題になったことは記憶に新しいところである。
その後も農産物など一次産品の価格が依然として高騰を続けており、依然として収まる気配が無く、8月27日に行われた第11回全国人民代表大会でも
、インフレ懸念が国内経済の最大の問題点として取り上げられている。それによると、農産物など一次産品の価格が高騰を続けており、これまでの7か月間で、消費者物価は7.7%上昇
し、物価上昇の抑制は難しい状況にあるようだ。
農作物の産地である南部は豪雨と洪水、また中部から北部にかけては干ばつによる水不足で、米や農作物の収穫がかなり影響を受けているようである。そうした状況は
今後、天災や異常気象が続く中でますますひどくなってくる事が予想され、インフレを加速させる可能性が大きい。
全国人民代表大会で、自然災害による農業インフラのダメージが農作物の収穫に大きな影響を及ぼす点や、これから先の天候不順による害虫や家畜の伝染病の発生リスクなどによるインフレの懸念をを指摘しているのは、そのためである。
もしもこれから先、このインフレ傾向が一段と進むようなら、民衆の心に支配者に対する不平・不満が長期に渡って蓄積しているだけに、騒乱や暴動発生への懸念は一段と増してくる
ことになる。
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株式投資にはとても似合わない人たちが、1日中
証券会社のディスプレイの前に座っている
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中国株式バブルの崩壊
ところで、世界の目がアメリカの金融恐慌に向かっている最中、それに先駆けて進んでいるのが、バブル化した中国株式市場の崩壊である。
中国株式市場の恐ろしさは、つい最近までは株式などとはまったく無縁だった人々が大挙して参画していることである。テレビで証券会社の店頭に群がり、ボード板に写り出される株価速報に一喜一憂している人々の姿を見ると、違和感を覚え
ずにはおられない。そこにいる人々はとても株取引には無縁の人間に思えるからである。
彼らの多くは、中国共産党に所属する中産階級、あるいはそれ以下の階層の人々で、1〜2年前から、資本主義経済も株式の何たるかも知らないまま、株取引は労少なくして儲かる格好の収入源と思いこみ、その世界に入っていった
人々である。その時期は北京オリンピックに向けて、土地が高騰し、ビルの建築ラッシュが
最盛期を迎え始めた頃であった。
その後しばらく、中国株式は土地バルブと歩調をあわせるが如く上昇しつづけ、買えば上がる状況が続くことになる。中国を代表する香港総合指数は、2005年の10月頃に1200ポイント辺りにあったが、その後一気に上昇を始め、あれよあれよという間に2000ポイント、3000ポイントを突破し、2007年の夏場には4000ポイントに達した。
それから先も、上昇の勢いはとどまることなく、とうとう2007年11月には6000ポイントの大台を突破するところとなった。それからしばらくして6124ポイント
のピークをつけた後は、下落基調に転じるところとなるのだが、多くの一般庶民が株取引に飛びついたのは、
既に4000ポイントを超えてピークに近づいた昨年の夏頃であった。
それゆえ、儲けを得られた期間はわずか1年足らずで、仲間から金儲けの噂を聞いて飛び込んできた新入りにとっては、甘い汁を吸えた期間はわずか数ヶ月であった。
その後、下降局面に入ってわずか8ヶ月で50%も下落、オリンピック前の7月には2300ポイント、60%まで下落してしまった。まさに「秋の日のつるべ落とし」である。
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上海総合株価指数(04〜08年)
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上のグラフを見れば暴落の姿が一目瞭然である。
今回の中国株式バブルの崩壊の特徴は何と言っても崩壊速度の凄まじさである。ほんの10カ月の間に、このような下落が見られるのは、世界的にも極めて珍しい現象である。読者は1990年に始まった日本の株式バブル崩壊のイメージが強烈で、中国株式バブル崩壊の方が緩やかと思われているかも知れないが、それはとんでもない間違いである。
日本の株式バブルは1989年12月に38915円のピークを迎え、暴落を開始した。しかし、日経平均の終値がピークから5割下落したのは、崩壊開始から2年以上が経過した1992年3月(終値19345円)、そして6割下落したのは、さらに4ヵ月後の1992年7月(終値15095円)のことであった。
ところが、上海総合株価指数はピークから終値が5割下落するのにわずか8ヶ月、6割下落するのにも10ヶ月しかかからなかったのだ。つまり、日本人が2年半掛けて味わった衝撃を、中国人
投資家はわずか10ヶ月で受け止めねばならなかったというわけである。
その上、中国の現在(07年)の一人当たりのGDPは、わずか2460ドルで、バブル崩壊時の日本の10分の1以下であることを考えると、そのインパクトたるや、恐らく我々の想像を絶する
ものであ
ったことは間違いない。しかも、それを中産階級とはいえ、一般の商店主や家庭の主婦が味わっているのだからたまったものではない。
何故このような短期間での急落が起きたのだろうか? それを知るには、中国株式市場の隠された仕組みを知る必要がある。
先ず知っておかなければならないのは、 中国市場に上場している企業のそのほとんどが国営企業であるということである。そして、この国営企業の最終的なオーナーが国務院であるのだが、中国株式市場で絶大な権力を持つ「中国証券監督管理委員会」と、「中国銀行業監督管理委員会」が、実はこの国務院の傘下にあるのだ。
つまり、監督する立場で、中立で独立しているべき機関が、監督される側の傘下にいるというわけである。サッカーの試合で例えると、選手と審判の両方が、中国政府という同じ穴のムジナであるばかりか、審判は選手の使用人であるというわけである。これでは、上場など役人の思いのままである。
これで、会社の経営内容やファンダメンタルなどと関係なく、様々な国営企業が上場されるわけが理解できたに違いない。サンフランシスコ州立大学のファイナンス学教授・陳溢茂氏は、「中国株式市場に上場している銘柄の、そのほとんどの実態は、疑わしい。上場に値するほどのファンダメンタルズ(基礎的要件)を満たした会社はほとんど無いと思って良い」と断言しているほどである。
こうした状況が表に出ないのには、二つの理由がある。
中国の著名な経済アナリストと称されている人たちが、ほとんどが上場されている主な企業のお抱えディレクターであるうえに。健全な市場を保つために自由で公正
でなければならない中国のメディアも、また、すべて政府の検閲をパスしなければ、記事を掲載したり、テレビ放映をしてはならないことになっているのだ。
さらに、それら企業のトップ(CEO)は、一方で中国証券監督管理委員会のメンバーであるほか、証券取引委員会など、政府機関のポストを努めている。これでは、真の情報公開がなされないどころか、インサイダー取引や株価操作、不透明な行政介入などが自由自在に行われてもなんの不思議もない。
中国株式で株価が短期間での異常な値上がりした背景には、こうした事情があったというわけである。だからその化けの皮がはがれて、企業の実体が投資家たちに知れ渡るようになった途端に、史上希に見る株価急落が発生したというわけである。
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急落する株価ボードを呆然と見つめる投資家
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地獄の蓋が開いた中国株式
こうした状況の中で、悲劇は更に続くことになる。待ちかまえているのは地獄の世界である。
上海総合株価指数が、下落しながらも何とか60%ダウンで持ちこたえていたのは、北京オリンピックを前にした中国政府のPKO(延命工作)であった。株主もまたオリンピックの高揚した気分に紛(まぎ)
らわされて、その後の反発に期待していた節(ふし)がある。ところが、
9月に入りアメリカのサブプライムローンに端を発する世界的な景気後退が中国にも及ぶに至って、反発どころか更なる下落が始まるところと相成った。
下落が進み、上海総合株価指数が、もしも2000ポイントを割るようなことになれば、一般庶民の投資家たちの間にパニックが発生するだろうと言われていたが、9月に入り徐々に2000ポイントに近づいていた上海総合株価指数は、リーマンブラザーズの倒産劇を受けて、一気に2000ポイントを割り込み、1
8日の終値で1900ポイントを割り込んでしまった。
ピークからの下落率は70%、日本の株式で見れば39000円の最高値から12000円へと下落した状態になる。日本ではそこまで落ちるのにはおよそ
4年の歳月がかかっているが、中国ではわずか1年足らずである。地獄の釜の蓋が開いたとはまさにこのことを言うのではないだろうか。
今回の株価暴落でどれだけの人々が、どれほどの損害を被ったか? 次のヤフー・ニュースを見てもらえればその実体が分かるはずである。
<中国株>昨年来の株価急落、投資家の半数が70%超の損失
9月18日11時44分配信 Record
China
2008年9月17日、上海証券報は、上海株総合指数が昨年6124の高ポイントを記録して以来、その3分の2まで下落した現在、投資家達はどのような状況にあるのか、証券関連サイトと共同しアンケート調査を行った。その結果、45%が以前と同様に投資を行っており、48%の投資家は70%以上の損失を出したという。
今回の調査に参加したのは5000人の投資家。うちわずか23%が資金を引き揚げたといい、以前と比べ、11%の投資家が資金を半分以下に減らしたという。ただ、20%以上は50%以上を保持しており、資金を増やすことも減らすこともない者はなお45%いるという。この45%の多くは2007年に株の上昇に引かれて参入した「新人」だという。
アナリストによると、A株平均はピークの20元から現在の8元まで下降、投資家は痛手を食らった。その損失は、わずか21%の投資家が損失を50%以内にとどめたが、48%は70%を超す損失を受けた。
多くの投資家は、08年の残り4か月で株価の回復が見られると考えていない。指数が1500を下回る投資家もいるほどで、1000を下回ると見る人もいる。だが、分岐点を仮に2000に置くとして投資家はどうするか。多くの投資家が下げの反動に期待するとしているが、「撤退」を考える投資家もいるようだ。
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株価はその後、政府の株価対策もあって、2200ポイント台へと戻しているが、そう長くは続かず、一時的な反発に終わる可能性が大であると思われる。なぜなら、中国の景気が回復したわけでもなく、上場の企業が抜本的な経営改革を成し遂げたからでもないからである。
むしろ、こうした一時的な急上昇は、更なる損失者を産むことになる場合が多い。なぜなら、一旦株取引から手を引きかかっていた人たちが、残された資金を再び市場に投入しこれまでの損出を取り戻そうとするからである。これから先長期に渡り株価が上昇を続けるなら結構だが、私が予想しているように、それが短期間で終わるようなことになれば、残された資金も消えてしまうことになる。
長くて3〜4ヶ月、早ければ1〜2ヶ月のうちに下落基調に転じる可能性もある。遅くなればなるほど、悲劇は大きくなってくる
ので、早いほうが救われる人が多いかもしれない。
株価暴落がもたらすもの
いずれにしろ、多くの投資家が既に相当の損出を被ったことは事実である。蓄えに余裕のある富裕層ならいざ知らず、何十年かかかって蓄えた、ありったけのお金を注ぎ込んだ庶民投資家の打撃は
大きいはずである。
親戚や友人からかり集めた資金を投資している人々も多いようというからなおさらだ。中国の新聞に、株式市場から去っていく人々を「BMWに乗って市場に登場し、自転車に乗って退場する人々」と書かれているのを見れば、
いかに悲惨な状況が生まれているかが分かろうというものだ。
問題は、被害にあった人々の多くが株式の何たるかを知らぬまま証券会社に飛び込んだ人々であったという点である。株式投資そのものが、自己責任の基本ルールに則(のっと)っていることを知らぬ人々は、
損出の鬱憤(うっぷん)のはけ口を証券会社や政府に向け ることになりはしないかと、不安になってくる。
これから先、国の内外の悪材料により、上海総合株価指数が最後の暴落相場に突入するようなことになったら、証券会社が暴徒と化した投資家達に襲われる様子がテレビに映り出されること
は十分にあり得ることだ。
また、株価下落の影響は個人投資家だけにとどまらない。
中でも一番大変なのが銀行である。というのは、ファンド筋を作りそこに金を流して株を買わせ、異常なバブルを作っていた一方の主役が、他ならぬ銀行であったからである。既に、融資先のファンドがつぶれ、資金回収が出来なくなってきている銀行が幾つかあるようだ。そうした状況に追い打ちをかけているのが不動産の下落である。
さらに、中国の銀行の中にもサブプライム・ローンを抱えた銀行も数多くあるようだから、まさに「泣き面(つら)に蜂」である。
なにしろ資本主義の経験が浅い国であるから、投資家も企業も銀行もお互いに、追い込まれた現状にどう対処したらよいのか分からないのが実情だと思われる。それは共産党政府とて同じことである。
今回は、欧米や日本の株価対策に見習って幾つかの手を打ったものの、企業に対して自社株買いの勧めなど、決して王道ではない。更なる下落が始まったときには、市場閉鎖しか残されていないかも知れない。
リ−マン・ブラザーズの余波を受けた世界的な株式暴落で、1日に10%を超す急落によってまっ先に市場を閉鎖したのがロシアとベトナムであることを考えると、共産主義国家がいかに経済的非常時に弱いかが分かろうというものである。なお、ロシアは既に年初から60%もの下落が起きており、株式市場は
更なる下落が始まれば、金融非常事態宣言が出されることになりそうである。
こうして見てくると、大国アメリカ、中国、ロシアなどの国が、いつ世界恐慌への鐘を鳴らしてもおかしくないところに立ち至っていることが分かる。世界は未曾有の経済危機に陥りつつあるようだ。もしも、世界恐慌への鐘の鳴るのが、冬から春へと
先延ばしされたとしても、来年の今頃までには、激しい鐘の音が世界中に響き渡
たり、「株価大暴落」、「企業破綻」、「失業者大量発生」、「ハイパー・インフレ」 ・・・・・・ こうした暗いニュースがマスコミを賑わしているのではなかろうか。
その後に、「暴動発生」、「内戦勃発」、「世界大戦の予兆」などの暗い記事が
、「巨大地震」、「大型ハリケーン」、「大洪水」等のニュースとともに、追い打ちをかけることになるかもしれない。
しかし、これから先いかなることが起ころうが、何も恐れることはない。すべては光の世界へとアセンション(次元上昇)するための産みの苦しみであ
り、それは、3次元世界を脱却する前に、地球にまき散らしたカルマを精算するために必要な「刈り取り作業」であるからである。
私がホームページで、時々、悲観的な未来情報をお知らせしているのは、近い将来に、実際にそういたことが起きたとき、読者が慌てて取り乱すことのないように心の準備をして頂くためであることを、忘れないでお
いて頂きたい。
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