イギリスの危機

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金融不安 欧州で再燃


 

 

 

   

ロンドンのシティー街の外観

 

 

欧州で金融不安が再燃し始めた。中でもひどい状況になってきているのが、金融の中心地・イギリスである。イギリスでは政府が大手銀行の救済策第2弾を発表したものの、銀行株は大きく下落を続けており、通貨ポンドの下落もまた目を覆いたくなるよな状況に なってきている。

2008年の損失見通しが280億ポンド(約3・4兆円)となったイギリスの大手銀行である、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)やバークレイズ銀行などの金融機関に対し、イギリス政府は新たな救済策を実施することを発表。

しかし、ブラウン首相が追加支援策を発表した19日にも、RBSやバークレイズ銀行の株価はさらに下落を続け、RBSはなんとその日1日でなんと67%も下落して11.6ペンス(14円)、また、バークレイズは1週間前の半値、59.2ペンス(60円)まで落ち込んでいる。( その後、株価は少し上昇し、26日現在、RBSが14.5ペンス、バークレイズが88.70ペンス)

資産規模で欧州最大を誇るRBSの株価が14円というのだから、いかにイギリス金融界の置かれた状況が厳しいかが分かろうというものである。このままでは、アメリカのウオール街より ロンドンのシティー街の方が先に破綻する可能性が大である。まさに長い歴史を誇る世界の金融業の中心地シティーが消滅する日が目前に迫っているのである。

破綻に追い込まれようとしているのは金融業界だけではない。イギリス国家そのものも破綻の瀬戸際に追い込まれつつあるのだ。それを示しているのが、急激なポンド安である。昨年9月に金融危機が深刻化するまでは1ポンド=230円前後で推移していたというのに、23日には史上最安値の118円台にまで下落している。

わずか4ヶ月間で半値にまで下落したことになる。我が国の円がもしも逆の事態になったことを考えたらその影響の大きさが想像できるであろう。こうした急激なポンド安や金融界の窮状は英国経済に深刻な影響を及ぼし、更なるポンド安、株価下落 への悪循環に追い込まれることになりそうである。

 

 

 
 


タワーブリッジの灯が消えるときが来るのだろうか

 

 

イギリス経済は終わった
 

イギリスの惨状を改めて世界に知らしめたのが、アメリカ人の著名投資家ジム・ロジャーズ氏の「英国は終わった。私は自分の持っていた英通貨ポンドすべてを売ってしまった」という発言だった。

ロジャーズ氏は、投資家ジョージ・ソロス氏とファンドを立ち上げた後、独立、最近は原油価格の上昇やアメリカの投資銀行の問題点を、早くから指摘し、今後数年はドルの価値は大きく失われると述べるなど、歯にきぬを着せぬモノ言いで知られる人物である。

ロジャーズ氏はさらに「イギリスはもう終わりだ。北海油田の原油は今後なくなっていき、金融街シティーもめちゃくちゃだ。イギリスは売るモノがもうなにもない」「シティ(英金融界)も終わりだ。国際金融の中心はアジアに移っている。今や、世界のすべての資金はアジアにある。何故その資金をわざわざ欧米の方に戻す必要があるのか?」とも発言している。

ロジャーズ氏の発言は、もはや輝けるイギリスの栄光の歴史が消えかかっているだけでなく、国家そのものの破綻さえあり得るところまで追い込まれてきていることを物語っている。世界中に多くの植民地を持ち、覇権国家として世界に君臨していた かっての大英帝国が今、アイスランドと変わらぬ、ただの小さな島国に化そうとしているのだ。

こうした状況を目にすると、現在、我々の目の前で起きている経済異変がかって例を見ないほど凄まじいものであるかが分かろうというものである。巷間、100年に1度か2度の経済危機だと言われているが、実際のところは、そんな生やさしいものではないのだ。

アメリカがニュー・ダラーの発行を模索し、そう遠からずうちに、実施に踏み切る可能性が大きいことは、先の「アメリカの不穏な動き」でお伝えしておいたが、実施の時期は 先に延ばされることはあったとしても、いつか必ず行われるはずである。

2008年の財政赤字が5000億ドル(45兆円)、09年に至ってはオバマ政権の掲げる新経済支援策を除いても1兆2000億ドル(110兆円)に達しようとしている。恐らく今年の赤字幅は200兆円を超すことになるはずだ。これでドルが暴落を し始めたら、大国アメリカも、もはやそれまでである。

こうして、かっての覇権国家であったイギリスや今日の覇権国家アメリカが次々と崩壊に向かって進んでいる姿を見ると、我々は今大きな歴史の転換点に立っていることを感ぜずには いられない。因みに、ヨーロッパの金融機関もイギリスやアメリカに劣らず厳しい状況で、主要な金融機関の10〜12期の4半期決算は皆大きな赤字となっている。来年、2009年度の決算数字を見るのが怖くなってくる。      
   BNPパリバ(フランス):1,600億円の赤字   ING(オランダ) : 3,800億円の赤字
   コメルツ(ドイツ) : 340億円の赤字

ヨーロッパの金融機関はアラブの国々に融資している額が膨大である。ドバイをはじめ中近東では、建設ラッシュだったビル群が皆、建設途中で放棄されているという。まだヨーロッパの金融機関はこうした中近東の不良債権を殆ど計上していないが、今後これらが一気に表面化した際には200兆円とも言われる不良債権が火を噴くことになるのだ。


          *************************


そんな折り、27日の「TBS News」のブログに次のようなニュースが掲載されていた。日に日に、我が国の雇用状況も厳しさを増してきているが、こうしたニュースを読むと、欧米の厳しさが一桁違うのが実感できる はずだ。 とてもオバマ景気などと浮かれたことを言っているどころではない。

世界的金融危機が直撃しているアイルランドでは、とうとうハーデ首相が23日、悪性腫瘍による健康問題を理由に辞任することになった。これから先はこういった政治責任にまで波及することになるかも知れない。

それでも今の状況は、まだ地獄の穴の入り口に過ぎず、アメリカの失業率 の7.2%など、2〜3年後に振り返ってみれば、うらやましい数値に見えるかも知れない。

それでは、ブログの記事を掲載させてもらったので、ご覧頂こう。
 

欧米企業、1日で7万人近い人員削減

 

世界的な雇用の不安が進んでいます。欧米の大手企業で、26日だけで合わせて7万人近い人員削減が一度に発表されました。

週明けのアメリカのニュースは、朝からテレビやラジオで「解雇通知」を意味する「ピンクスリップ」という言葉が吹き荒れました。

産業機械大手、キャタピラーが全世界で従業員2万人を削減すると発表したほか、携帯電話大手のスプリント・ネクステルもおよそ8000人を削減。

ホームセンター大手のホーム・デポも、一部の事業撤退で7000人を解雇と、26日だけで、ヨーロッパ企業を合わせると、7万人近い雇用の削減が明らかになった計算です。

「けさまで何も知らされませんでした」(ホーム・デポ従業員)

一部メディアは「流血の月曜日」などと衝撃的な見出しで伝え、オバマ大統領もこの日の演説の冒頭、最近、人員削減に踏み切った企業名をわざわざ引き合いに出し、危機感を露にしました。

「マイクロソフト、インテル、ユナイテッド航空、ホーム・デポ、スプリント・ネクステル、キャタピラーが、それぞれここ数日で何千人もの人員削減を行っています」(オバマ大統領)

いずれの企業も、金融危機以降の収益が悪化し、人件費の圧縮で経営の建て直しをはかっていますが、改善の兆しは見えてきません。今年に入ってすでに20万人の職が失われたとされるアメリカでは、企業の人員削減にさらなる拍車がかかっています。(27日10:40)

 

 


 


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