中国の経済発展の虚偽
先月、中国の第3四半期の国内総生産(GDP)の伸び率が前年同期比8・9%増と発表された。
マイナス成長率からようやくプラスに転じようとしている欧米の国々の成長率に比べ、8.9%という数字は驚異的である。もともと、統計的な問題もあって実質数値は5〜6%を引いた数値が本物の数値だと言われてきていたが、それにしても、9%近い数値には驚かされた。
しかし、下記の大紀元日本社の記事を読むと、最初に中共政府政治局の描いた数値がありきで、それに各地の統計データーを合わせて、偽造したものであることが
記されている。
中国政府当局がどう数値をいじろうが、それは勝手だが、問題はその数値を鵜呑みにして中国の発展は凄いぞと勘違いして、中国内外の会社が販売計画をかさ上げ
し、設備投資を無理して増やすようなことがあると大変である。
中国の株式市場と不動産市場が当局のコントロールで上昇一路をただおっていることは既にお伝えしてきた通りであるが、必ず作られたバブルははじける時が来る。その時が先に延ばされ、バブルの規模が大きくなればなるほど、その
時の衝撃は大きく、国内の混乱が厳しいものとなることは必定である。
中国株式市場は、今年7月15日時点で上場企業の時価総額が3兆2100億ドルに達し日本を抜いて、米国に次ぎ世界2位となっているが、英エコノミスト誌
の8月27日付の報道によると、今年に入ってから、中国株式市場の売買回転率はすでに300%以上、つまり、一つの株の所有者が三回変わっているということである。
これは、欧米市場での平均60%に比べると5倍の回転率となり、中国の株式市場がいかにギャンブル化しているかを浮き彫りにしている。
中国株式市場は、個人投資家が全体の約75%を占めているといわれており、今年の株式市場の上昇で、定期預金を解約して、資金をよりリスキーな株式市場に投入するため、新規取引口座を開設した個人投資家がさらに増えたというから、暴落時のショックの程が窺い知れるというものである。
各国政府のエコノミー減税や買い換え促進策によって、プラスに転じようとしている世界経済であるが、メッキがはげて再び地獄を見るような状況が再来したときには、中国とてその流れに逆行することは不可能である。
他国と違い、偽装の好景気感が強ければ強いほどその反動は大きくなるだけに、その時の衝撃的な状況が目に浮かぶようである。
中国GDP8・9%増、その真偽は?
【大紀元日本10月30日】22日、中国共産党政権は第3四半期の国内総生産の伸び率を前年同期比8・9%増と発表。国家統計局も今年1〜9月の国内総生産を21兆7,817億元(約289兆6,966億円)、前年同期比7・7%増と発表した。
中国政府側の統計によると、今年第1四半期のGDPの伸び率は前年同期比で6・1%に減少したが、第2四半期には7・9%まで回復したという。政府側は目標に掲げる、通年での前年比8%成長について「懸念なし」と自信を見せている。
しかし、国外ではこの成長に疑問を持つ声が多い。世界を驚かせた中国の自動車産業の売上高の背後には、中央政府官員が国有企業に自動車を大量に買い溜めするように命じた事実が報道されている。これらの自動車は全国各地の駐車場に放置されている。
中共政府は、統計を出す際、生産されたが売却されていない商品も売上高に計上する。つまり、売れたはずの商品が、倉庫に保管されている。
中共政府政治局の要求を満たすために、各地の統計データも、求められる数字に合わせて偽造され、誇張されている。当局がコントロールする株式市場と不動産市場も上昇する一方だ。成長の裏では、バブルの崩壊が懸念されている。
米CIT破産
先に、「ドルと米銀の危機」でお伝えしておいた通り、中小企業向け融資を手がけるアメリカ・ノンバンク大手のCITグループが11月1日米連邦破産法を申請することになった。負債総額649億ドル(5兆8500億円)。アメリカ企業の破綻としては、6月に破綻法を申請したG・M(ゼネラル・モーターズ)に次いで5番目の規模
である。
当行の経営破綻は主力取引先の中小企業の経営環境が依然として厳しいアメリカ経済の実情を映し出しおり、アメリカの景気が完全に底を打ったというわけにはいかないことを物語っている。既に100行を超したアメリカの銀行倒産はこれから先もさらに増大していく可能性は大きく、目を離せない状況がつづくことになりそうである。
CITにはアメリカ政府が公的資金23億ドル(2070億円)を既に投入しているが、この資金が破産申請に伴い回収不能となることは間違いなく、その場合
には、金融安定化法案法に基づいたアメリカ政府の注入資金の焦げ付きによる国民負担が発生する始めての事例となる。
このため、オバマ政権は中小金融機関への支援が今後一段とむずかしくなることは必定で、ノンバンクや地域金融機関の破綻が加速し、中小企業の経営悪化に拍車がかかる公算がさらに大きくなってくることになる。
クライスラー2万人の早期退職者
GMと共に破綻し、政府の出資によって再スタートを切ったクライスラー。これまでのニュースを見ると順調に再生に向かっているかのように思えたが、実際は切り捨てる部門や会社がまだ数多く残っているようで、生産人員の余剰が続く現状が浮き彫りとなった。
今回は6月に法的整理を完了して以降、2万3000人という初めての大規模なリストラとなったが、こうして退職を余儀なくされる人々が、各企業で増えていくことを考えると、アメリカの失業率がさらに増加していく可能性は大きく、年内には10%の大台に乗ることは間違いないなさそうである。
オバマ大統領自身、2日にホワイトハウス行われた経済再生諮問会議の会合に先立ち、現在の失業ペースは「悲惨」とし、労働市場はすぐには改善しないとの見方を示し、「向こう数週間か数カ月間に、引き続き一定の雇用喪失が見られると予測する」と述べている。
(追記 : 日本時間の昨夜遅く発表された10月の失業率は予想通り10%の大台に乗り、10.2%となった)
下記のロイター伝が伝えるように、経済の先行きを見ることに関しては定評のあるジョージ・ソロス氏も世界経済の二番底が10年か11年には来そうだと語っている点を考えると、今年は無理矢理持たしたとしても、来春以降、強烈な2番底
を打つ景気後退が来そうである。
世界の景気回復は失速傾向、二番底のリスク=ソロス氏
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米著名投資家ジョージ・ソロス氏 3月撮影(2009年 ロイター)
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[ブダペスト 30日 ロイター] 米著名投資家ジョージ・ソロス氏は30日、世界経済の回復は失速する傾向にあり、景気の二番底のリスクは依然として現実的だとの見方を示した。
同氏は当地で講演し、「回復は失速する傾向にあり、2010年か2011年になるかは分からないが二番底を打つ可能性がある」と述べた。
また、世界金融システムは金融危機を繰り返すことのないよう改革が必要だと指摘。国際通貨基金(IMF)の運営を見直し、資本の動きを規制する新規則を検討するために、新たなブレトンウッズ会議の開催を求めた。
同氏は、世界的に自由な金融資本の移動が不安定性の原因となっていることは立証されており、支配的な国際通貨としてのドル利用による「危険な不均衡」と共に、抑制される必要があると指摘。その上で「ドルはかつての信頼と信認をもはや持っていないが、ドルに代わる通貨はない」と述べた。