砂漠の都市を襲う集中豪雨

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異常気象を実感


前回、サウジアラビアに隣接するドバイの金融危機のニュースをお伝えしたばかりであるが、今度はドバイとは反対側にある紅海に面した砂漠の都市ジッダの集中豪雨のニュースである。

既に皆さんご存じのことと思うが、先月末、サウジアラビアのジッダに豪雨があり、100人を超す死者が発生した。東京に向かう電車の中でそのニュースを見た私は、一瞬目を疑うこととなった。砂漠の都市「ジッダ」と「豪雨」という文字がどうしても結びつかなかったからである。

調べてみると、ジッダの年間降水量はわずか31.4ミリしかない(サウジ全体では11,2ミリ)。月別で見ると、5月から9月にかけては0ミリ、11月から12月にかけては多少雨が降るものの、せいぜい3〜14ミリ程度しかない。つまり、年間降雨量が1700ミリを超す我が国から見れば、サウジアラビア全体が雨はほとんど降ることのない国だと思って 間違いないのだ。

しかし写真を見ると、そこには、水没した道路をエンジンのかからない車を押している住民の姿が写り出されていた。それはまるで最近よく見かけるインド やパキスタンなどの多雨湿地帯の水害となんら変わらない情景であった。

それにしても、そこに住む人々は何千年もの間、大雨とか集中豪雨などというものを経験したことがない人々だけに、さぞかしびっくりしたに違いない。 こうした出来事を我々自身しっかり記憶に留めておかないと、異常気象が何処まで進んできているのかを見逃してしまうことになる。

アフリカを始め世界の各地で、かって満々と水をたたえていた湖が干し上がって干ばつ化している一方で、こうして年間降雨量が何十ミリと言った砂漠地帯で、集中豪雨による被害が発生し始めているのである。

読者には、地球の大転換期が刻々と近づいていることを是非心に留めておいて欲しいものである。


砂漠の都市に豪雨で洪水、106人死亡…サウジ

読売新聞
2009年11月29日(日)22:00
 

【カイロ支局】砂漠が広がるサウジアラビア西部の主要都市ジッダで集中豪雨による洪水が発生し、多数の家屋や道路が崩壊、地元報道によると、死者は29日までに106人に上った。

豪雨が襲ったのは25日で、約1200世帯が避難生活を強いられている。同日から29日まで恒例の巡礼(ハッジ)が行われた近郊のイスラム教聖地メッカでも、巡礼者が傘をさして歩く姿が見られた。
 

 
 

 
 


大雨のために洪水になった道路で車を押す住民たち=ロイター
 

 


次は、9月にサウジアラビアの北に位置するトルコを襲った集中豪雨のニュースである。現地の人が送ってきたメールを読むと、トルコもこういった集中豪雨的な災害は希であるとのことなので、イスタンブールの市民はかなり驚いたようである。

因みに、イスタンブールの年間降水量を調べてみると457ミリ(日本の27%)で、8月、9月の平均値はわずか18〜29ミリしかないことを考えると、9月の大洪水は異常気象以外のなにものでもないことが分かる。

ベネチアの冠水のニュースも、温暖化による海水の潮位の上昇が現実味を増してきていることを物語っている。もはや浮かれて観光地巡りをしている時ではなくなっていることに、気づいて欲しいものである。

 

トルコ、イスタンブールを襲った大洪水

(ナショナルジオグラフィックニュース

トルコ、イスタンブール、2009年9月9日。トルコ最大の都市イスタンブールを襲った大洪水。高速道路では多数の車が身動きできず、バスの屋根の上には救出を待つ男性の姿も見える。

 
 

 
 


イスタンブールを襲った集中豪雨で身動きが取れなくなった車両

 

 

高潮でベネチア全域冠水 都市機能がまひ

 

【ローマ1日共同】水の都として世界遺産に登録されたイタリア北部ベネチアが1日、アクアアルタと呼ばれる高潮に襲われて旧市街全域が冠水、都市機能がまひした。高潮の高さは1986年以来、最高の156センチに達した。

 同市では毎年秋から冬にかけ、季節風と低気圧の影響で高潮が起き、冠水被害が発生。近年は地球温暖化による海面上昇などで頻発しているが、全域の冠水はまれ。

 中心部のサンマルコ広場も完全に水没した。多くの商店やレストランが閉まり、水上バスも運休。旅行者はホテルに閉じ込められ、住民も1階の家具を2階に上げるなど対応に追われた。

 イタリア政府は高潮被害を防ぐため、総工費約43億ユーロ(約5100億円)をかけて海中に防潮壁を設置する工事を進めており、2014年に完成予定。

 

 

 

 

 
 


1日、高潮で完全に水没したベネチアのサンマルコ広場(共同)

 

 

 

 

 

 

 

 

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