胡錦涛主席急遽帰国の衝撃
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新たに投入されウルムチ市内を警備する特殊警察部隊 (ロイター)
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新疆ウィグル自治区で7月5日に発生したウイグル族による大規模抗議活動は、警察と軍の介入によって暴動と化し、7月7日までに死者は156人、負傷者は千人あまり。逮捕者は1450人に達している。
その後、抗議活動はウルムチ市から、自治区内の第二都市カシュガル市までに拡大しつつあるようで、香港の人権団体によると、ウルムチ市のほか、カシュガル、イリ市、アクス、ホーテンなどの都市には、計3万人の軍人と武装警察が進駐、戦車も導入され、厳戒態勢がとられているようである。
こうした情勢の中、G8(8ヶ国首脳会議)に出席するためイタリア入りしていた胡錦涛主席が急遽帰国の途についた。中国政府がいかに今回の騒乱
に大きな危機感を抱いているかが分かろうというものである。一歩対応を間違えると、騒乱は全国に飛び火し、収まりがつかなくなる懸念が十分にあり得ることを承知しているからである。
政府の発表と違って、実際は、ウイグル自治区から働き盛りの世代が沿岸部の年に強制的に出稼ぎに出されいることに対する不満を訴えるために起こした平和的なデモが、多数の警察、軍の出動で武力衝突となり、過去まれに見る150人を超す犠牲者を出すことになったもののようである。
問題は今回もまた厳しい報道管制がひかれ、現地でのマスコミの取材が大きく制限されていることである。中国政府としては、当初、ウイグル族の分裂主義者と国外のウイグル人団体「世界ウイグル代表大会」が計画した組織的な暴力犯罪であるとして、早急に鎮圧を計りたいところであ
ったようだが、ことはそう簡単には治まりそうにない気配である。
海外からの注目を避けるために、一旦落ち着きを取り戻した1昨日、マスコミ関係者を現地に入れ、市街が平穏を取り戻した状況を印象づけようとした
。しかし、夫や息子が殺されたり逮捕され連行されたウイグル族の女性が大挙して再び抗議行動に出たため、
今回のデモや騒動が漢民族とウイグル族の間に長い間横たわっていた、格差と民族間の亀裂に根を発する深刻な事件であることが暴露され、
「虻蜂(あぶはち)取らず」に終わってしまったというわけである。
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急遽,、イタリアサミットから帰国の途についた胡錦涛主席 (ロイター)
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再び行われたマスコミ封鎖
現在、ウルムチ市内の対外の通信はほぼ中断された状況におかれており、5日夜、武力弾圧後、当局は情報を封鎖するため、電力、電信を遮断していたとの情報もある。 現地入りしたある台湾メディアの記者によると、他の地域への国内電話も通じない上、国際電話は完全不通になっているという。
昨夜のNHKのニュースを見ると、NHKの海外向けの報道番組で、世界ウイグル会議のラビア代表者の中国政府に対する抗議の発言を放送していたところ、突然、画像が暗くさせられ音声が聞こえなくなってしまったようである。中国政府
が海外のメディアが騒動の真相を伝えることに相当神経質になっていることは明らかである。
すでに、ウルムチ市を含め新疆ウイグル自治区各地域の政府サイトが閉鎖されているばかりか、6日午後までには、中国国内の他の地区でも、ユーチューブ(YouTube)やグーグル(Google)などのサイトへのアクセスは困難となっている。
かりに、封鎖を突破してネットに掲載できた映像や情報も、数分間でネットを監視する警察に削除されており、中国国内の各大手サイトはすべて、中国官製メディアの新華社などの記事と映像を引用し、ネット利用者による関連の書込みは禁止されているようである。
NHKの放送画像への干渉も同じ意図で行われたことは間違いない。これでは、中国の民主化はまったく進んでいないことになる。オリンピック閉会後、マスコミの目が中国から離れたために、
一見、中国は平穏になったかのように思われがちであるが、実際は、洪水や干ばつと同様に、騒乱や暴動も相変わらず続いていており、今回のウイグル自治区の暴動はその一つに過ぎないこと知るべきである。
どうやら、これからはHPに中国の暴動と災害発生のニュースを再び掲載する機会が増えてきそうである。
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この写真は今回の暴動を略奪・放火の深刻な暴力犯罪事件とするための
当局のやらせの写真という情報もある。たしかに消火活動をしている消防士の横に立っている
4〜5人の男たちからは、緊迫感が伝わってこない。(公的機関が提供した写真) |
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