政治空白の後にやって来るもの
21日の衆議院解散をもって、いよいよ事実上の選挙戦突入である。
政治や選挙にはずぶの素人であるが、私なりの考えを述べると、前回も書いたように政権が民主党に移ることは間違いなく、おそらく民主党は単独政権を取ることが出来るほどの、地滑り的勝利になるのではないかと思われる。
こうした政治の流れを一番敏感に感じているのが、官僚の方々である。その彼らがこれから先の新たな計画はもとより、予算の執行を完全にストップしている実体を知れば、政権交代の流れは間違いない
ことがわかる。彼らは完全に政権が移行することを読み
取っているのだ。
それゆえ、今は民間の会社が予算取り
のためにどの省庁、どこの局へ足を運んでも、すべて無駄足となること請け合いである。官僚たちは上から下まで、9月以降に登庁する民主党の先生方から文句を言われ、揚げ足を取られるのを恐れているのだ。
それは私の単なる推測ではない。経済産業省や環境省といった役所の現場に顔を出している営業の現場からの報告に基づいた話である。したがって、これから先、およそ2ヶ月余は日本の政治と行政は完全に空白となる。
景気が好調で、行政としても特別な動きが必要でない時期ならいざ知らず、9月以降、世界的な経済情勢や社会情勢が再び悪化し始める可能性が大きいだけに、
長期に渡る選挙までの空白と、推測されるその後の政局移行に伴う混乱は、我が国にとって致命傷になりかねない。
|
|
|
|
民主党のシンボルは、日食の始まりと終わりがイメージ化されたようなマークである。
日食の始まりと同時に政権を担い、来年の日食で終わることのないよう願っている。
|
|
民主党は「高速道路の無料化」や高校進学への「10万円の補助」、中学校卒業までの子ども1人あたり、月額2万6000円(年額31万2000円)を支給する
「子ども手当」の創設などの優遇策をマニフェストに盛り込み、選挙戦に臨む考えのようである。言うまでもなく、各政党が総選挙で掲げるマニフェストは、有権者に対する政権公約である。
「公約」を辞書で引くと「守られないもののたとえ」とあるなどという笑い話があるくらい、これまでは、マニフェストは確かな
約束と呼べるものではないと言うのが一般的な評価であった。しかし、それはそもそも民主党が音頭を取って、03年の総選挙から国政選挙に導入したものであることを考えると、民主党が政権
を取った暁
(あかつき)には、笑い話の対象にしておくわけにはいかなくなってくる。
民主党の政権公約に対して、自民党やマスコミはもっぱら裏付けの資金が無いと批判している。しかし、今までの選挙と違って今回は、自分の党に政権が移ってくることを百も承知の
上で書き上げるマニフェストだけに、何らかのメドは立てているはずだ。
したがって、表だって発表はしていないが、民主党は政権奪回の後は、公共事業をはじめ防衛費に至るまで無駄と思えるものは、かなり思いきって削減してくるに違いない。それを十分承知しているからこそ、官僚たちが予算執行や下半期の行政計画
の立案を躊躇(ちゅうちょ)しているわけである。
長期に渡る自民党政権下で身に付けた大量の皮下脂肪をそぎ取ることは結構なことであるが、7兆円の公共事業と5兆円の国防費の中から、25兆円に達する年金、医療などの社会保障費の不足問題
だけでなく、高速代無料化や学費補助費などの資金を調達することが容易でないことは確かである。
後は民主党がいかに本気になって、今もなお裏で糸を引き続けている小沢氏の意向を受けて党内部に混乱を起こさずに、政権公約を実行に移すかである。
マニフェストの実行のためには、人気取り政策だけでなく、所得税の扶養控除や配偶者控除の見直しなど、事実上の増税も避けて通れないはずである。
ただ、外交や安保面についてはかなり現実路線に傾いてきているようで、あれだけ反対していた対アフガニスタン支援やインド洋での海上自衛隊の給油活動、普天間飛行場の沖縄県内移設な
どについてのマニフェスト化は、執行部によってお蔵入りになってしまいそうである。
あまり腰砕けになってしまうようだと、「ほら吹き民主党」となってしまう可能性もあり、国民があまりに民主に期待し過ぎていると、政権崩壊が短期間の内にやってくることになるかもしれない。
その可能性が大きいのではないかというのが私の観測である。
いずれにしろ、一足早い話であるが、経済的混乱に政局の混乱が重なる可能性の高いこの秋は、要注意である。あわせて中国の動乱発生と北朝鮮の突発的な軍事行動や、徐々に死亡率を上げながら感染者数を増やし続けている豚インフルエンザからも目が離せないようである。
中国や北朝鮮問題、それに豚インフルエンザについてはまた後日、改めて記載することにする。
|
|
|
|
22日長野県蓼科高原で撮影した、満ち始めた日食 |
|