駿河湾地震と東海地震の関連
前回のHPにも書いたように、今回の「駿河湾沖地震」は近づきつつある「東海地震」とはまったく別のものであることが、地震の専門家らで作る「地震防災対策強化地域判定会」で結論づけられた
。
しかし、発生エリアが想定されている「東海地震」内であったことを考えると、その前兆の一つとして発生した可能性もあり、非常に不気味である。テレビの映像で、東名高速の崖崩れやミカン畑の大きな地割れを見るにつけ、もしもこれが、浜岡原発の周辺で起きたらと考えると、身の毛がよだつ思いである。
3340棟の損壊、120人に達するけが人を出した今回の地震は、マグニチュード6・5(深度23q)であったが、ご承知のように東海地震の規模はM8
・0、それに深度はさらに浅く10qと想定されている。
一般に、マグニチュードが1大きくなると、地震のエネルギーは32倍になると言われていることから想定すると、東海地震の規模は今回の地震の約200倍になることになる。
さらに「東南海地震」と同時に発生したときの想定震度は、M8.6である。それを考えると、間もなく到来するのではないかと思われる、「東海地震」がいかに凄いかが分かろうというものである。
気象庁地震予知情報課とのやりとり
駿河湾沖地震は予想されている東海地震とは異なると発表された。大事なことなので、その理由を地震予知情報課に直接電話してお聞きした。情報課が答えてくれた主要な理由は次の3点であった。
@ 東海地震はフィリピンプレートがユーラシアプレートに沈み込んでいる部分で発生するとされて
いるわけであるが、その深度はおよそ10qである。しかし今回の駿河湾地震の震源地は23q
であった。
A 沈み込むフィリピンプレートの反動でユーラシアプレートに亀裂が生じ、それが震源とされて
いるが、亀裂の生じ方が角度や方向において予想されているものと異なった。
B 震度が予想されているものよりはるかに小さいものであった。
地震専門家が判断しているように、今回の静岡地震が東海地震と異なるものであるとすると、別途、東海地震は近い将来に発生すると言うことになるわけである。
そこで、情報課の担当者に、「今回の地震が予想されている東海地震と異なるということは、東海地震の発生確率は依然として高い確率のままなのですね」と質問してみた。それに対して、「その通りです」と答えられたあと、「危険度は年々増してきていることになりますから、今朝のテレビでも放映されていたように、かすがいやロープなどによる耐震性をさらに徹底して欲しいものです」と語っていた。
震源が地下340qの怪
「駿河湾沖地震」の前々日に発生した「東海道南方沖地震」の震源地が地下340qという報道に対して、疑問を持たれている方がおられるようなので、その点についても
簡単に触れておくことにしよう。
地球は地殻という岩石層に覆われ、その内部にはマントルという溶けた鉄が充満していると言われている。地殻は「海洋地殻」と「大陸地殻」に分類され、海洋地殻は主に玄武岩質岩石からなり、大陸地殻の上部は主に花崗岩質岩石から成り立っている。
そうした岩石層の厚さは、大陸部で20〜50q、海洋域では海底から6〜10qといわれている。それだけに、地下340qが震源地といわれると、
そこはマントルの中になるわけであるから、なぜドロドロに熔けたマントルの中で、地震を引き起こす亀裂が発生するのだろうかと疑問が生まれる。
私自身もその点に関しては、前から同じ疑問をもっており、震源地として数百qの深度が発表されるたびに、本当だろうかと思いつづけてきていた。そこで、今回、地震予知情報課の専門家にその点を尋ねたところ、次のような回答があった。
地球はフィリピンプレートやユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレートなどが取り囲んでいます。それらのプレートがぶつかり合ったところでは、重い方のプレート、例えばフィリピンプレートとユーラシアプレートがぶつかり合っている日本列島の東海岸沿いでは、重いフィリピンプレ
ートが軽いユーラシアプレートの下に沈み込んでいます。
この沈み込みが進んだとき、上の軽いプレートが押さえ込まされて、その反動で亀裂が生じたときに起きるのが一般的な地震の要因とされています。一方、重いプレートはマントルの中に500qほど沈み込んでいくのですが、その途中で亀裂が生じたようなときに起きるのが、マントル内地震の要因というわけです。
どうやら、学者はプレートは500qぐらい地下深くまで潜り込んでいると考えているようで、「東海道南方沖地震」は地下340qのマントルの中でフィリッピンプレート
に亀裂が生じ、その結果発生したものというわけである。
ただ私には、鉄鉱石がどろどろに溶けてしまうような超高温になっているはずのマントルの中で、なにゆえ岩石で出来た地殻の層が熔けないのか理解が出来ないのである。仮に熔けないにしても、地下深く300qなり500qも内部に沈み込んだ状態では、地殻は相当柔らかくなっていなければおかしいように思われる。
となると、地表に向けて衝撃波を発するような強烈な亀裂の発生など起きそうにないように思われるのだが、いかがなものだろうか。この点については、応対して頂いた担当者
からも明確な回答が得られなかったことを考えると、どうやら、一般的にマントルと呼ばれている領域については、まだまだ未知な点が多いようである。
マウリツィオ・カヴァーロ氏の地球空洞論を聞いていると、地殻は二重になっており、その間にあるマントルは非常に薄いもののようである。この点については、また別の機会に書くことにしよう。
次回は「東海地震」を掲載する予定である。