22日、信用不安が続くヨーロッパでギリシャに次いで厳しい財政状況が続くポルトガルでは、政府が進める財政緊縮策に反対するデモやストライキが各地で行われ、交通機関への影響が出た。デモは2つに分かれて行われ、一つは「労働総同盟」によるデモ、もう一つは1年前に30万人を動員した学生デモである。
2つのデモは交わろうとせず別々のデモあることを強調していたが、向けられた方向は一致しており、労働市場改革と継続的な緊縮財政の実施に抗議するものであった。ポルトガルの失業率は公表されている数値でも14%を超してきており、事実上20%を越しているようである。
国立統計局の発表数値でも毎日2000人が職を失っている事になるわけで、こうした状況に国民がいつまで耐えられるかが問題である。今回のデモはポルトガル政府が国際的な財政支援を受け入れ、厳しい財政引き締め計画が実施されてから通算3回目となる。
こうしたことがこれから先、ポルトガルだけでなくギリシャをはじめとする南欧諸国やアイスランド、オランダなどで次々と起きてくることは必定で、EU(ヨーロッパ連合)やIMF(国際通貨基金)などの意向に沿った形で行われている緊縮財政による年金削減や公務員の賃金カット・人員削減が途中で挫折する可能性が高いことを、今回のポルトガルのストは暗示しているようである。
世界の株価はまるでヨーロッパの財政問題が解決したかのように高値を更新しているが、こうしたデモやストライキが本格化し、債務国の中で政変が起きた時には一気に下落することは必至である。こんな状態がいつまで持つか、8月、10月辺りが波乱を呼ぶことになるのではないかと懸念され
ている。頭に入れておいて頂きたい。
イスラエルのイラク攻撃はその前に行われる可能背性が大きいだけに、財政緊縮国の政変への導火線にならなければ良いが。