太陽の異変
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発生が近いとされる太陽の4重極化現象(東京天文台発表)
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太陽の磁極と磁場に大きな変化が発生していることは、前回「太陽の異変」でお知らせした通りである。実は太陽の異変については、今回初めて明らかにされたものではなく、既に
昨年9月2日付けの読売新聞にも次のように記されていた。
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地球環境に変動?太陽北極域で異例の磁場反転
宇宙航空研究開発機構の太陽観測衛星「ひので」が、太陽の北極域で磁場が反転し始めた様子を観測することに成功した。
太陽の北極、南極の磁場は約11年周期で反転することが知られているが、今回は予想時期より2年も早いうえ、南極域では反転が見られないなど異例の様相を呈している。地球の環境変動につながる恐れもあるという。
磁場の反転と、太陽の黒点数増減の周期は、通常約11年で一致していたが、2009年初頭まで続いた黒点の周期は2016年に延びた。活動周期が延びる時期は、地球が寒冷化することが知られている。
研究チームの国立天文台 常田佐久教授は「観測されたことのない事態だ。地球環境との関係を調べるため、太陽活動を継続的に監視していく必要がある」と話す。 |
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太陽は約11年周期で活動が低下する極小期と活発化する極大期を繰り返しており、極大期には南北両極のプラスとマイナスの磁場が同時に反転するのが常である。ところが今回
、太陽観測衛星「ひので」のデーターを基にした東京天文台と理化学研究所の研究者を中心とした国際研究チームの研究発表によると、北極においては
例年より少し早めに磁場の反転化が発生しているのに、南極ではそれが見られずにいるようである。
その結果、現在南極と北極が共にプラス(N極)となってしまっており、磁極が無かった東西にマイナス(S極)が出来
るという異常な事態が発生しようとしている。これらの観測結果は、太陽の内部で磁場を生み出すダイナモ機構が、現代的な太陽観測が始まって以来初めての変動を来していることを示している。
そうした変動の原因は太陽の活動が低下し冬眠期に突入しようとしているからではないかと、天文学者は考えているようである。そのため、4重極化現象だけでなく、表面の黒点の数も
通常の極大期の数に比べて少ない状態が続いており、それらの異常現象は地球に小氷河期をもたらすのではないかと懸念されている。
しかし、太陽の冬眠期と地球の寒冷化との関連性については詳しく述べられていないので、多くの方が戸惑っているようである。
そこで、昨年6月に放送されたNHK・BSテレビの「コズミック フロント」・「迫りくる太陽の異変」という番組を再度見直して見たところ、
太陽の活動度合いが地球の気象に大きな影響を与えている要因について触れていたので、見逃された方のためにその内容を簡単に伝えておくことに
した。
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黒点も太陽フレアーも太陽内部から強力な磁力線が飛び出し
て発生するものである。
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太陽活動の低下がもたらす影響
太陽活動の活動期と低下期はおよそ11年の周期で訪れ、それを表しているのが黒点の大きさと個数である。しかし、地球に及ぼす光の量には活動期と低下期の間にわずか0.15%ほどしか差がない。つまり、太陽の活動度は地球に及ぼす光のエネルギーそのものの量にはほとんど影響を及ぼしていないようなのである。
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黒点の数は現在も極大期の数のより少ないままだ
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それでは、地球の気象や寒暖に太陽の影響はないではないかと思ってしまうが、最近の研究から実はそうした考えは誤りであることが分かって来たのである。その決め手となったのが、黒点の発生は実は太陽内部で起きている磁力の働き
(ダイナモ現象)によるもので、太陽の内側で強い磁力が発生した時
、つまり太陽の内部活動が活発化した時に黒点が多く発生することが判明したことであった。
このダイナモ現象の活発化によって、黒点が出来ると同時に磁力線が大量に発生し太陽の外に飛び出す。これが我々が太陽フレアーとよぶ地球の何百個分に
も達する巨大な炎である。
この飛び出した磁力線は太陽系の外周部にまで及び、それによって太陽系全体にバリアが張られ
、宇宙から飛来してくる宇宙線が太陽系内に入ってくるのが保護されているのである。
従ってもし太陽内部のダイナモ現象が弱まると単に黒点の発生が減少するだけでなく、磁力線によるバリアの力が弱体化し宇宙線(紫外線)が大量に地球に注がれることになる
。その結果、大気中には多くの微粒子が生成されて蒸発した水蒸気と一緒になって大量の雲が形成される。
宇宙線が飛来しなくても、地上の水蒸気が蒸発して雲は形成されるが、単に水蒸気が冷却されて出来た雲と違って、宇宙線によって出来た雲は微粒子が多いため、一つ一つの粒子に付着する水蒸気の量が少な
くなる。
それゆえ、通常の雲と違って宇宙線が多い時に出来る雲は、雨となって地上へ降り注いで消えてしまうことが少ないのである。つまり、微粒子によって発生した雲は雨が降っても消えずにそのまま残る確率が高く、地球は厚い雲に覆われた状態が長く続くことになり、寒冷化をもたらすことになる
というわけである。
これが「コズミック フロント」の「迫りくる太陽の異変」という番組が伝える寒冷化現象(小氷河期の到来)の概要であるが、詳しい内容をお知りになりたい方は、オンデマンドを利用して再放送をご覧になることをお勧めする。
確かに過去の歴史を調べてみると、11年のサイクルが狂い 始めたその後には、70年近い太陽活動の停滞期が続き、異常な冷夏の発生で作物の不作による大飢饉が発生している。
その代表例が1600年代の終わりから1700年代にかけて発生した「マウンダー極小期」と呼ばれる活動の停滞期で、この時、ロンドンのテムズ川が凍結したり、京都の桜の開花期が極端に遅くなったりして
、世界中で作物の不作による大飢饉が発生している。
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実は、寒冷化による小氷河期の到来の可能性については大分以前から言われて来ていることであって、私も7年前の2004年10月のHPで取り上げているので、前から私のHPを読んでおられる読者は記憶しておられるはずだ。
2004年と言えば、映画、「The
Day After Tomirrow 」(ザ・デイ・アーフター・トゥモロー)が世界的に大ヒットした年であった。読者もご覧になられたことと思うが、その当時はまだ、世界的な異常気象が本格化し始めていなかっただけに、単なる娯楽映画として捉えられてしまったようであるが、実はこの映画製作にはある
重大な背景があったのである。
それでは次回、その背景とホピが伝える氷河期到来の予言について語ることにしよう。
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