神秘的な「青い池」
6月の10日の札幌講演会を終えた後、北海道の上川地方のほぼ中央にある美瑛町(びえいちょう)を訪ねた。美瑛町、そこは近隣の富良野市(ふらのし)と共に北海道を代表する有名な観光地
。丘陵風景と花の風景が人気で、北海道外からの移住者も多く、写真家にとっての憧れの地でもある。
町全体が起伏のある丘陵地に囲まれており、それぞれの丘からはラベンダーやルピナス、コスモスなどが彩りを添え素晴らしい景観を眺めることが出来る。
また、秋から春にかけての雪化粧した十勝岳連峰を背景にした景観も素晴らしい。
実は美瑛にはこの他にも、まだあまり人に知られていないが神秘的な「青い池」と呼ばれる隠れた観光名所がある。今回の撮影のお目当ては
、この青く染まった池とそこから流れ出る美瑛川の景観であった。講演後スタッフと夕食をとった後、美瑛に向かう。札幌から高速を走り旭川経由で約2時間
ほどかかって到着。
翌朝、富良野在住のガイドさんに駅前のホテルに迎えに来てもらう。あいにくの空模様で、昨夜までの雨は上がったものの霧が出ていてお目当ての池の青さが見れるかどうか心配。池は車で20分ほど先の白金温泉の近くにあるという。
駐車場に車を止めて少し歩くと、林の先に湖の姿が見えてきた。焦る気持ちを抑えて池の畔に立つと、そこには霧が立ちこめたなんとも言えない幻想的
な「青い池」の姿が広がっていた。撮影を忘れ、しばらくの間見入ってしまった。この池は自然に出来たものではなく、美瑛川の砂防工事によって
造られた人造池であるという。工事が完了し
、一般の人が見学が出来るようになったのは3年ほど前のこと。
池の中には枯れ木となった立木が林立しており、一段と風情を醸し出している。池が青く見えているのは、アルミニウム成分を多く含む地下水と、川の水とが混ざり合って出来たコロイド状物質が、太陽の光を反射しているためである。これだけの青さを持った池や湖は他では見たことがない。中国にある有名な
九寨溝(きゅうさいこう)の景観が思い出される。
予定の撮影を終えて近くのホテルで昼食をとっていると、雲間から陽が射し青空が広がり始めた。晴天下の池を見てみようと、再び「青い池」
に向かった。するとそこには、朝の景色とは違ったコバルトブルーに輝く一段と美しい池の姿があった。天の采配に感謝し、さっそく撮影にかかる。青く輝く池
の写真は次回に掲載予定、お楽しみに。