中国における大雨による洪水や干ばつによる水不足の発生については、私のHP上でこれまで何度もお伝えして来た通りである。その結果、農村部においては農作物の凶作や家畜の飼育が出来なくなって来ているばかりか、生活用水にすら事欠くほど水不足に追いやられている農家が激増してきている。
そうした状況が年間18万件に及ぶ暴動や抗議行動の発生を引き起こす大きな要因となって来ているわけであるが、中央政府や地方政府がこうした実体をひた隠しにしてきているため、外国に住む我々にはその被害状況がどこまで拡大してきているのか、正確に把握することは出来ないでいる。
しかし、揚子江や黄河と言った巨大な大河が干し上がり、流域の農村や都市部で水不足が深刻化しているニュースを何度も見ていると、その周辺エリアの乾燥化、砂漠化が想像以上に進んでいることは間違いないはずである。
そんなことを考えていた折り、そうした推測が紛れもない事実であることが明瞭に分かる映像が大紀元ニュースに掲載された。上段に掲載した中国の上空から写された衛星写真を見ると、東西南北、中国のほぼ全土から緑色が消え、一面が黄色一色で覆われてしまっており、ゴビ砂漠が広がるモンゴルと何ら変わらない状況となっているのが分かる。
それはまさに森林の乱伐やレアーメタルなどの鉱物資源の無節操な発掘によって自然が破壊され、蒸発散量が不足して降水量が減少したその姿が写し出されたものである。大紀元ニュースは国土面積の18.2%に当たる174万平方キロメートルはすでに砂漠化し、砂漠地帯が毎年3436平方キロメートルづつ広がっていることを伝えているが、この写真を見る限り、直近の砂漠化の状況は当局の発表より遙かに進んでいるようである。
衛星写真は中国の各サイトに転載され、ネット利用者から「驚いた」「胸が痛い」との声が寄せられているようであるが、その思いは日本人とて同じである。異常なまでの生活格差の拡大や重慶市のトップの薄熙来氏の失脚、その妻の英国人実業家殺しの容疑に代表される政治官僚の腐敗ぶりに加えて、今回の衛星写真は自然災害のさらなる拡大を予測するものだけに、これからの中国の行方が一段と空恐ろしくなってきた感がする。