前日の講演でも首相は「債務に対しての共同責任を意味するユーロ共同債、共同証券、欧州預金保険は、経済的に間違っているし非生産的だ。ドイツの憲法にも反する」とし、さらに「サミットでの協議では、またしても、債務の共有化に関する構想についての話があまりに多く、一方で監視の改善や構造的措置については議論がまったく足りないという状況に陥るのではないかと懸念している」とまで述べている。
こうした発言を聞くと、これから先、次第にドイツを中心とした北ヨーロッパの国々と、フランスを中心とした南ヨーロッパの国々の間で、激しい対立が起きてくる可能性があり、ギリシャのユーロ圏離脱以上に
EU圏における南北間の対立や、フランスとドイツとの対立という大きな難問に直面する
ことが懸念される。これもまた新たな不安の種である。
今日からEU首脳会議が始まり、金融危機の深化を防ぐ為、スペインの銀行への融資やギリシャ支援の
条件の緩和案などが打ち出されることと思うが、発表されるマスコミ報道の裏
でユーロとEU崩壊への暗雲が次第に立ちこめ始めて来ていることを、見逃さない事が肝心である。