日本では今週に入り大寒波から一転して4月上旬の暖かとなり、一旦氷結した湖が溶け始めたりしているが、西ヨーロッパから東ヨーロッパ、さらには地中海沿岸のアフリカ北部では相変わらず厳しい寒波と、大雪、大吹雪が続いているようである。
ドイツでは運河が凍りついて運行が出来なくなってしまい、砕氷船が出動するなど難儀が続く一方、ハンブルクではアルスター湖が氷結したため、15年ぶりの氷上祭りが出来るのではないかと期待が高まっている
、と悲喜こもごもの状況が伝えられている。
また、フランスでは連日の寒さのため暖房などの消費電力が増え続け、過去最高の電力需要となっている。その結果、原発、火力、水力などの国中
全ての発電所をフル稼働しても供給が追いつかない状況が続き、海外から輸入してなんとか電力の維持を図っている。
フランスでは電力の70%近くを原発に依存しているだけに、もしも原発事故が発生し原発の閉鎖が起きたら、その年の冬は都市機能が麻痺してしまうことは間違いない。
原発への依存度がこれだけ高いと米国同様、原発から容易に撤退できないだけに原発問題は深刻だ。
西ヨーロッパに比べ、東ヨーロッパの寒波と雪害の被害は更にひどく、ブルガリアやボスニア
、ウクライナでは各地で交通が寸断されるなど日常生活にも影響が出ており、死者は306人に達している。最も被害が出ているのがウクライナで、死者は130人を越しており、約1800人が低体温症や凍傷で入院し、国が設置した3000カ所の避難所には、食料や暖を求める8万人もの人々が駆け込んでいる。
何と言っても驚くのは地中海南岸の温暖の地、北アフリカのリビアやアルジェリアでも積雪していることである。
アルジェリアでは雪による交通事故で16人が死亡。積雪しているリビア沿岸部は通常だとこの時期の昼の気温は16〜17度だというから、沖縄本島の気温に近いことになる。
もしも、沖縄に雪が降って雪かきをするようなことになったら大騒ぎである。それを考えると、この冬の気候がいかに異常であるかが分かろうというものである。
ギリシャの債務危機は人間の手で何とか先延ばしは出来るかも知れないが、これから襲ってくる自然の脅威には立ち向かう手段は持ち合わせていない。