火山噴火
3月には、ハワイ島でキラウエア火山が噴火。世界で最も活発な活動をつづけている火山の一つであるキラウエア火山であるが、この噴火で、プウ・オオ火口原からの溶岩は上空25メートルまで吹き
上げられ、この30年で最大級の噴火となった。
いったん収まった噴火活動は、5月末から再び
始まり出し、幅150メートルに達する溶岩の湖が沸き立つ事態に至った。キラウエアでは、20世紀中に45回の噴火が記録されていることを考えると、活発な火山であることは間違いないが、それでも平均すると2年に1度弱である。3月に次いでの5月の2度目の噴火は少々ペースが早過ぎるよう
だ。
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30年ぶりの大噴火・キラウエア火山 (ナショナル・ジオグラフィックニュース)
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洪水
3月、本土では洪水が各地を襲っている。オハイオ州では、大雪の後の突然の高温で雪が溶けたところに暴風雨が
追い打ちをかけて、ダムが決壊。多くの町が洪水に見舞われた。テレビは雪の残る町が水に埋もれた珍しい光景を映していた。また、インディアナ州やニュージャージー州でも雪解け水によって、洪水と土石流が発生
し大きな被害をもたらした。
5月に入ると、雪解け水でミシシッピ川が増水し、沿岸の各地で洪水が発生。南部のルイジアナ州をはじめとする洪水被害は1ヵ月以上にわたって続き、米国建国以来最悪のものとなった。
6月には、今度は米中西部を流れるミズーリ川、ノースダコタ州のソーリス川が豪雨によって氾濫。ミズーリ川の洪水では、ネブラスカ州のクーパー原発とフォートカルフーン原発の2つの原子力発電所一帯が浸水する事態
が発生した。原発停止は、今年に入ってから既に2度目、竜巻によるアラバマ州のブラウンズフェリー原発停止に次ぐものであった。
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ルイジアナ州の被害
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熱波と山火事
この冬、寒波と大雪に襲われた米国は、6月に入ると一転して熱波(Heat Wave)に襲われることとなった。 まるで誰かがスイッチを入れたかのように突然熱くなり出し、アメリカ全土の3分の2のエリアに高温警報が出された。39度の高温が襲ったのは、ミネアポリスではまだ夏が始まったばかりの6月7日、ニューヨークは7月8日のことであった。
その後、異常高温は南部にまで及び、南部のアリゾナから南西部にかけては高温で枯れた草木が発火、それに強風が重なり、広域で
大規模な山火事が発生した。その煙はサウスダコタ、アイオワ、ネブラスカにまで及び、延焼面積は40万エーカー
という史上2番目の規模になった。アリゾナといえば春には、洪水と竜巻で記録的な被害が出たばかりである。
砂嵐
7月に入るやいなや、今度はアリゾナ州で7月5日、歴史に残る巨大な砂嵐が発生。砂嵐の壁は幅が100km、高さが3キロにも達し、風速
が30メートルというハリケーン並みの勢力を保ちながら移動を続け、州最大の都市フェニックスを飲み込み、空港が一時閉鎖されたほか、2万戸が停電するなどの被害が出た。
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アリゾナ州のフェニックス市を飲み込んだ巨大な砂嵐
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地震
8月23日、今度はバージニア州をマグニチュード5.8の地震が襲った。
地震とは縁がないと言われていた東部海岸沿いの地震だっただけに、被害は少なかったものの地震慣れしていない人々を驚かせた。遠く離れたワシントンD.C.やニューヨークでも建物が揺れ、人々は外に飛び出した。45分後にはマグニチュード2.8の余震も起きている。
今回の地震によっても、首都ワシントンの南西部にあるノースアンナ原発ともう1基の原発が、非常用電源で原子炉を冷却する事態が発生、操業中止となった。これで、砂嵐、洪水に次いで
今年3回目の操業中止である。
2つの原発の想定する最大震度がマグニチュード6.2だというから、危機一髪の事故であったわけだ。
アメリカ東海岸を襲ったマグニチュード5.8の地震の後、
マンハッタンの通りは建物から逃げ出した人であふれた。
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重大な警告
@ 寒波 A 大雪 B 竜巻 C 火山噴火 D 洪水 E 熱波 F 山火事 G 砂嵐
H 地震 I ハリケーン
これだけの思いつく限りの全ての自然災害、そのどれもが皆50年、100年ぶりという記録的な自然災害がわずか8ヶ月のうちに
次々と発生したということは、決して偶然のなせる技ではない。
天が情け心をもって米国国民に告げた重大なシグナルとしか思えない。おそらくこれから先、10の災害の全てが
次々と襲来し、その規模は今年の災害の何倍、何十倍。そして、被害者の数や亡くなる人の数は何千倍
、何万倍となるかもしれない。
最後に発生した地震とハリケーンは政治の中心・ワシントンと経済の中心・ニューヨークを同時に襲っている。これには重大な意味があ
りそうだ。私は米国の政治が混乱し、経済が崩壊するその前兆を、天は見せてくれたのではないかと思っている。
米下院の共和党ナンバー2、エリック・カンター議員は、ハリケーン「アイリーン」の被災地の復旧作業に対する連邦政府の支援について、
緊縮財政を貫くには別分野の歳出削減で相殺する必要があると述べており、
秋以降、民主党と共和党との対立は政治を一層混乱に導くことになりそうである。
一方、米国経済・財政の崩壊がもはや避けられないことは既に何回も述べてきている通りである。嘘で塗り固められた国家財政の実体や,、1700万人(公表数値は1400万人)にも達していると言われている失業者を抱えたまま、一向に改善の気配を見せない
失業問題を考えたら、それはすぐに分かることである。
ところが、地震とハリケーンがウオール街を襲い警戒警報が出ているというのに、ハリケーン通過後の29日、 ダウ平均株価はこれと言った理由が何もないのに
260ドル近く上昇している。ウオール街の魔物どもが挙げる上昇の理由の一つが、ハリケーンの被害額が予想より少なくなりそうだと言うのだから、あきれてものが言えない。
ロイターやABCニュースが伝えるところでは、その額は70〜100億ドル(5500〜7700億円)近くに達するというのにである。魔界と化したウオール街のおぞましい姿
を垣間見たようであった。