世界各国で記録的な異常気象が続いているが、我々が目にし、耳に出来るのはその中の一部に過ぎない。現地でその場に出くわした人間が知らせてくれなければ、知らぬままに終わってしまうケースも多々ある。その一例が南米はペルーの異常寒波である。
今週、来週と東京や大阪の講演会で演奏会を予定しているセサル・ラトーレ氏が福岡での演奏会の前日、7月8日にペルーから戻ってきた。9日の演奏会当日彼から聞かされた話は驚くもので、
それは、ペールーを襲っている大寒波についての情報であった。
私が学校を建てたペルー東部のウルバンバ側流域、そこはアマゾン川の源流域で標高は200mほどしかない。従って冬季のこのシーズンと言っても赤道に近いため、昼の温度は40度を超し、湿度が100%近いので、その蒸し暑さは尋常ではない。
旅人を悩ますのは、温度と湿度だけではない。蚊に刺され非常なかゆみに襲われることである。しかし、今回、セサル氏が訪ねたそんな熱帯域にあるキリバンバやサニリアート一帯は昼でも温度が25度以下で、夜半には15〜17℃という、異常な低温であったという。
その辺り一帯に住む先住民たちは長袖のシャツなどいっさい持っておらず、ましてや厚手のシャツなど一切ない。25℃を下回ることなど絶対にないからである。従って彼らは
、夜には家の中で体を寄せ合って震えていたようだが、そんな異常気候であるために蚊が一切出ず、まったく刺されることがなかったという。
クスコに向かって帰路についた7月6日、標高4000メートルのアンデス越えの途中、3000メートルの辺りから雪が降り出して積雪が
1メートルを超え、スノータイヤもチェーンも持たない車がスリップで大渋滞。早朝4時頃から夜半までまったく動きが止まってしまって、大変な難儀をしたようである。
下の写真上段はセサル氏が撮影した今年の7月、下段は5、6年前に同じエリアで私が撮影した2005年8月と2006年7月の山越えの景色である。標高が4000メートルあっても、赤道
直下に近いため(南緯12〜13度)、真冬といえども雪はほとんど降らず、最悪の時でもアラレやヒョウがほんの10分ほど降るだけである。それが1メートルの雪というから尋常ではない。世界中が完全に異常気象に入ってしまったのである。