欧州財務相会議開催
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欧州財務相会議にゲスト参加したガイトナー財務長官の
発言に対する欧州側の反応は、冷ややかなものであった。 |
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9月16日、ポーランドで欧州17ヶ国の財務相会議が開催された。ギリシャをはじめとするヨーロッパ各国の財政危機が会議の焦点であることは言うまでもないことである。その結果、7月に合意されたギリシャの大規模な新支援策(EFSF)(1090億ユーロ・12兆円)を実行に移すために各国が議会での承認を出来るだけ速やかに済ませることで一致したようである。
先のHPで私が予測したように、ギリシャ危機はこれでひとまず先延ばしされ、ユーロと株の暴落は小康状態を保つところとなった。注目すべきは、この会議に米国のガイトナー財務長官がゲスト参加したことである。欧州の財務相会議に特に呼ばれてもいないのに参加を要請し、よその国の財政問題に口を挟むということは異例である。
長官の発言は、「ギリシャは何ヶ月も破綻状態にあり、先の見えない状態が続いている。早く行動に移るべきであり、欧州各国も支援のためにさらなる支援策を講ずるべきだ」というものであった。この発言に対する欧州側の反応は、以下のように大変冷ややかなものであった。
「米国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に関するデータはユーロ圏と比べてかなり悪いにもかかわらず、米国がわれわれに対し何をするべきか、いつ提案するべきかについて提言するのは、奇妙なことのように思える」、「我々にはこれ以上の金がないので、資金の注入は出来ない。また、ヨーロッパ諸国より財政状況が厳しい米国からの支援は受けるつもりはない」
欧州財務相側の発言をより率直に言うなら、「ギリシャ同然の財務危機にある国から、色々言われる筋合いではない。それより、ご自分の国の財政健全化に取り組むべきではないか」というところである。それにしても、苦しいフトコロ状況にあるあなたの国から支援を受けるつもりはない、というセリフは傑作ですらある。
こうした冷淡な反応を百も承知で、ガイトナー財務長官がわざわざポーランドに出掛けていったのには訳がある。欧州の財務相が言うように、現在、米国そのものがギリシャと変わらぬほど厳しい財務状態にあり、欧州のちょっとしたことがきっかけで、本格的な景気後退に入り取り返しのつかない状況に追い込まれる可能性が強いからである。
ニューヨーク市長の暗い警告
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ラジオのワールドニュースに出演して暴動勃発の
可能性に言及したブルーンバーグニューヨーク市長
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米国が置かれている経済状態・財務危機状況がいかに深刻かについては、これまで繰り返し伝えてきたので読者には、十分理解されていることと思われるが、今回のニューヨーク市長の発言はまさにそれを裏付けるものであった。
発言の内容はおよそ次のようなものであった。
「現在の米国の置かれた経済・財務状況は大変厳しいものである。もしも議会がそれを認識せずにこのままに、十分な対策を打ち出せないなら、ニューヨーク市の街頭では暴動が引き起こされることになるだろう! 大量の大卒者が就職がままならず街にあふれている状況は、エジプトのカイロやスペインのマドリッドとなんら変わらないからだ」
米国最大の人口を抱えるニューヨーク市の市長であるマイケル・ブルンバーグ氏は通常こうした大げさな発言や警告を出さないことで知られている人物である。それだけに、今回の街頭での暴動勃発の可能性アリとの発言は、ニューヨーク市民のみならず、多くの米国民に大きな驚きと衝撃を与えたようである。
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昨年あたりから、政府に対する抗議デモは頻繁に発生している。
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16日のアメリカABCニュースは、米国の貧困率は年々上昇する中で、昨年の米国の世帯当たりの所得は3年連続で減少し、国民平均の所得水準は15年前の1996年の水準にまで低下してきていることを伝えていた。
ブルンバーグ市長の発言の中にあった、大卒者の就職難については、今年初めのHPの米国で「ブーメラン現象」が起きているというニュースの中で伝えたように、実に大卒者の就職率は20%台に落ち込んでいるのである。東日本大震災で厳しい就職事情が続いている我が国でも、60%台は確保していることを考えると、いかに米国の就職率が厳しいものであるか分かるはずだ。
それを考えると、これから先2番底を目指して本格的な景気減速が進み、就職状況がさらに悪化するようなことになれば、市長の言う通り、各地で暴動が発生する可能性が非常に高くなってくることは間違いない。米国が恐慌状況に陥る時期については、後日、私なりの見込みをお伝えするつもりであるが、その際には、大規模な暴動・暴乱の発生は必至である。
先日、紳士の国、イギリスのロンドンで起きた暴動がそれを暗示している。さらに心配なのは、米国では銃の所持が合法化している点である。ロンドンとは桁違いの死傷者が出ることになるのではないだろうか。
米国のみならず、貧富の差から不満が渦巻き始めている中国、デフォルトにより年金の支払いの停止や公務員の首切り、給与の大幅減収が予測される南欧諸国、 ・・・・・ どこが先に大暴動の発生地となってもおかしくない状況にあることを、読者はよくよく頭に入れておいて頂きたいものである。
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