神と化した紙幣
紙幣と呼ばれる「紙」は今や「神」へと変身してしまった。
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世界の中枢国として世界経済を担ってきた欧米がいま景気の低迷と財政危機に直面、世界的な経済危機の発生へと向かうのではないかとTVのニュースや新聞各紙のトップで取り上げられ
始めている。一方
、好調な経済状態にある中国やインドは、インフレとバブル崩壊の懸念に神経を尖らす状況が続いている。
それでは、これから世界の経済はどうなっていくのだろうか? 2〜3年の辛抱の後に低迷期を脱して再び世界経済は上向きになることが出来るのだろうか? それとも、1929年から30年代にかけて世界を襲った大恐慌と同じ道を歩むことになるのだろうか?
私の考えるところは、そのどちらでもない。世界的な経済の混乱により大恐慌状態が発生するという点では後者に近いが、これから先我々人類が迎えようとしているのは、単に株価が下がり大規模な経済の減速感が広がるという程度のものではな
い。今
、世の中を動かしている貨幣経済、貨幣制度そのものが崩壊し、我々が、かって経験したことのない世界が到来することになるになるのではないか、私はそう考えている。
現在の貨幣制度が続く限り、時代が進むにつれ益々貧富の差は大きくなり、金儲けに秀でた人間は大金持ちとなり、そうでない人間は
いくら身を粉にして働こうと一段と生活は苦しくるなるばかりである。それは米国や中国に見られる貧富の差のすさまじさを見てみれば、よく分かるはずだ。
現在の貨幣制度は、金持ちの元には益々金が集まってきて大富豪となり、貧乏な者からはなけなしの金が更に出て行くような仕組みになっているのだから、
貧富の差の拡大はどうにも止まらないのだ。
このままの状況が続くなら、世の中からは中間層が消え、人間は大金持ちと貧乏人の2種類に分かれることになってくる。
本来、貨幣というものは物々交換に代わって登場した代替えシステムを推し進めるための、単なる紙切れに過ぎなかったはずである。それが、いつの間にかその紙切れに「利息」というお化けが着いて、金が金を産む制度が出来上がってしまったのだ。
その結果、貨幣制度、経済のあり方が「金が金を産むシステム」の上に成り立つようになってしまったために、貧富の差の拡大が広まるようになってしまったのである。それに拍車をかけたのがグローバル化したお金の動きと博打場と化した金融市場の登場である。
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8月にウォール街を襲った地震は貨幣制度崩壊の前兆であった
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ニューヨーク、ロンドン、香港のいわゆる世界三大金融市場を中心にした賭博場では、一般大衆が蓄えた預金や各国政府がばらまいた巨額な資金を利用して、株や債権の売買のみならず、為替制度を利用したお金そのものの売買、さらには人が住むために必要な土地や建物、食べるための食料
、エネルギーとして必要な石油などの売買を金儲けの手段として利用して、途方もない利益を得る輩たちが出現してきたのである。
まさに、貨幣と呼ばれる物々交換に代わって登場した紙切れが、その利用者の巧みな錬金術によって、汗水流さなくとも何百倍、何千倍へと増殖するシステム
と、それを行うための市場という賭博場が生まれてしまったのである。
現在の株式市場を眺めてみればそのおぞましい実体がよく分かる。株式というものは、その発行元の企業の内容をよく調べて、その会社の将来性に託して長期的なヴィジョンで投資するのが本来の姿であったはずだ。
なのに今の株主は今日買って明日には売る、いやわずか数秒間の間に超高速コンビューターを駆使した何千億、何兆円の売買が当たり前になってしまっている
のが実体である。
読者にはよく分からないかも知れないが、株の空売りとかオプション、先物などという取引はまさにわずかの軍資金を元に、その何百倍もの取引を行うことが出来る
バーチャルなシステムで、それはまさに巨大な丁半博打(ちょうはんばくち)以外の何物でもないのだ。
その結果、兌換のための単なる紙切れや、株式という信用の手形用紙の一枚一枚がいつの間にか「神」に代わって人を、家庭を、社会を動かすところとなり、その結果、人は金の奴隷となり、金のためなら人を騙し、時には人を殺すこと
もなんとも思わない世の中が生まれて来てしまったのである。まさに一枚の「紙」が「神」へと変身してしまったというわけである。
今地球は宇宙の中心から照射されている生命エネルギーによって次第にその波動を上げてきている。そこに住む人間も様々な生物も皆しかりである。「アセンション」と呼ばれている現象がそれである。そうした波動の高い世界に向かうとき一番足を引っ張ることになるのが
、「神」に変身した「紙」という貨幣や株式が自由自在に人間の心を動かす、現在の歪んだ貨幣制度の存在である。
ここまで読まれたら、読者は私が言わんとしていることがお分かりだろう。そう、我々がこれから向かおうとしている世の中は、従来の貨幣制度が消滅し、
お化けと化した貨幣や株券、債権などが介在せずに、必要な人が必要な時に必要なものを手に入れることの出来る社会の到来である。
そのためには、現在の貨幣制度そのもの崩壊が必要となってくるのである。今、起きつつある財政危機や経済崩壊はその前兆なのである。
それゆえ、我々は株や円の上がり下がりだけに目をとらわれずに、しっかりとその本質を見抜くことが重要なのである。
《 次回に続く 》
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